森保ジャパン復活の狼煙…「真のワールドクラスのよう」 海外記者が脱帽、新戦術のクオリティー絶賛【コラム】
攻撃的3バックでミャンマー&シリアを5-0で撃破、日本の実力に英記者賛辞
森保一監督率いる日本代表は6月11日、北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選最終節でシリア代表と対戦し、5-0で快勝した。同予選を全勝で首位通過し、9月の最終予選を迎えるなか、かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、6月シリーズで力強さを再び取り戻した戦いぶりに賛辞を送っている。
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シリアに快勝した日本代表には、軌道修正ができたという感覚があった。再び5-0で勝利したサムライブルーは、完璧な成績で楽々とW杯予選の次のラウンドへ進出した。
日本は6戦6勝。たとえ北朝鮮戦が不戦勝だったとしても、アジア全体を見ても無傷で2次予選を終えたという成績は、非常に珍しいものだ。
最後のミャンマーとシリアとの2連戦では、日本は10ゴールを挙げた。これは2023年の終盤に、アジアカップ本大会を控えていたチームの状態に近い。森保監督の率いるチームが、真のワールドクラスのように見えていた頃のことだ。
カタールで今冬行われたアジアカップでのパフォーマンスは、その感覚を帳消しにしたが、広島では特に前半の45分間で、このグループの選手たちが何をできるかを垣間見ることができた。
ミャンマー戦と同じように、森保監督は3バックで試合に臨み、2人のセンターハーフのわずか前に左右のウイングバックが配置され、トップ下のコンビはセンターFWの周囲で自在にプレーした。
この戦い方は、ヤンゴンでの控え選手たちが中心と見られた構成での試合でもうまく機能した。そしてベストメンバーが起用されるとともに、日本の狙いと質の高さが際立った。
守備の基盤は、国内最高の3人のセンターバックによって強固となった。冨安健洋、板倉滉、町田浩樹は、身体能力の高い相手FWオマール・アルソマを寄せ付けないように協力して守っていた。
ピークを過ぎたとはいえ、アルソマは長らくアジアを代表してきたストライカーだ。現在でも大陸中のDFに、難しいチャレンジを強要する存在である。それでも日本の最終ラインは、彼の脅威を消し去った。
唯一欠けていたものは「久保のゴール」、勢い得て最終予選へ
このトリオは遠藤航と田中碧によってしっかりと守られており、守備から攻撃への転換も見事に行った。一方でウイングバックとして起用された堂安律と中村敬斗は、両翼から攻撃を仕掛けた。これによりシリアの守備は数え切れない問題を引き起こされた。
布陣が持つ柔軟性によって、久保建英と南野拓実は輝くことができた。このペアは変幻自在に入れ替わったプレーを見せたため、アウェーチームはどちらがどこに出現するのか、当惑し続けることになった。
試合は前半開始早々の8分で実質的に勝者が決まっていた。上田綺世はヘディングの才能を見せて先制点を決めると、その後も力強く最前線に立って日本の攻撃を牽引した。追加点を挙げられなかったことは不運だった。
この夜、唯一欠けていたものは久保のゴールだったのかもしれない。シリアDFタエルクロマのオウンゴールは、レアル・ソシエダの選手のプレストパスがあってこそだったが、あれだけのパフォーマンスを見せたのだから、得点者の欄に彼の名前が載っていたほうが望ましかった。
とはいえ、そのことも久保と森保監督にとっては、大して気になることではないはずだ。心地良い、チームを勢いづかせる勝利であり、日本は6月27日の最終予選の組み合わせ抽選会に、どこが相手であっても関係ないという自信をもって臨めるはずだ。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。