今アジア杯初勝利のフットサル日本代表、FP平田がバク宙ゴールパフォで晴らした「モヤモヤ」

フットサル日本代表が韓国相手に5ゴールを決めて勝利【写真:河合 拓】
フットサル日本代表が韓国相手に5ゴールを決めて勝利【写真:河合 拓】

韓国代表に5-0の完勝、前回大会に続いて日韓戦で大会初勝利

 フットサル日本代表は4月20日、タイで開催されているフットサルアジアカップのグループステージ第2節韓国戦で5-0と勝利した。今大会初勝利を挙げた日本は、第3節タジキスタン戦に勝てば決勝トーナメント進出となる。

 前半5分にFP新井裕生が2試合連続となるゴールを挙げた日本は、審判のジャッジにも助けられて早い時間帯から被ファウル数を増やしていく。前半9分には韓国が6つ目のファウルをしたとされ、第2PKを獲得。FPオリベイラ・アルトゥール、FP清水和也といった第2PKのキッカーを務める選手が離脱していたなか、FP平田ネトアントニオマサノリがゴールから10メートルの位置にある第2PKマークにボールを置いた。

 元々、平田は自分のゴールに強いこだわりがあるタイプではない。名古屋オーシャンズが元日本代表FP森岡薫の退団を発表した際、その後継者として名指しされていたが、平田自身は「自分がゴールを挙げられなくても、チームが勝てればいい」と話すタイプだった。だからこそ第2PKのキッカーを平田が務めるのは、意外にも思えた。

 試合後のミックスゾーンで、ゴールへのこだわりが強くなったのかと聞くと、平田は「うーん」と考えてから「いや、特に変わってないですよ。その考えは」と言い「ただ、違うのは責任と言うんですかね。前回大会が終わったあとに(優勝して)すげぇ嬉しかったんですけど、内面は悔しい部分が多かったんで。それが大きかったかなと思います」と、続けた。

 平田は2年前にクウェートで行われたフットサル・アジア杯でアジア杯初出場を果たした。ピヴォとして全試合に出場し、最前線からの献身的な守備と身体を張ったポストプレーでチームの通算4度目のアジア制覇に貢献した。しかし、6試合でのゴール数はゼロに終わっていた。

 最もゴールに近いポジションでプレーしながら、無得点で優勝メンバーになっていたことに「貢献しきれなかった思いがあった」と胸の内を明かした。

「いつも『点を取れなくても、チームが勝てればいい』と言っていますけど、やっぱりピヴォだし、チームのみんなも僕が決めると盛り上がる。決められれば最高、決められなくても、この前の試合みたいにアシストできればいい。でも、何より責任を果たせていない感覚はありました。クラブ・アジアカップでは点を決めていましたけど、この大会ではタイトルを獲ったのに点を決めていなかったので、その違和感はすごくありました」

韓国戦でゴールを決めた平田ネトアントニオマサノリ【写真:河合 拓】
韓国戦でゴールを決めた平田ネトアントニオマサノリ【写真:河合 拓】

平田はアジア杯初ゴールに笑顔「本当に決められて良かった」

 そして平田は、第2PKを蹴った。ここまでアジア杯7試合でゴールがなかったストライカーは、冷静にGKの逆を突くゴールを決めてチームに2点目をもたらした。2大会越しの初得点を決めた平田は、得意のバク宙パフォーマンスで得点に続き、会場を沸かせた。「タイトルがあったのに、点がないというモヤモヤが、あの瞬間に晴れましたね。本当に決められて良かったです」と、笑顔を見せた。

 あれだけ初ゴールの遠かった平田だが、その10分後には再び第2PKを決めて大会2点目も記録。この時も1本目と同じようにGKの逆を突いてゴールネットを揺らしている。第2PKは間違いなく大きなチャンスだが、2本連続成功するのはなかなか難しい。前日練習でも第2PKを決めていた平田だが、まるでスペシャリストのように決められている要因は何なのか。

「お手本のような人がいますからね。(日本代表と名古屋時代の)アルさん(アルトゥール)もそうですし、うちのチーム(スペイン1部サンタ・コロマ)の第一キッカーのベルデホもアルトゥールな感じで、めちゃくちゃ上手いんですよ。彼らの真似をしつつ、自分のできることをしつつというのが、チームで練習をしていることもあって、徐々にできるようになってきました。それが上手く出て良かったです」

 どんな駆け引きをしているかなどの詳細は「秘密」とのことだが、第2PKのキッカーを務める2人がいなくなった木暮ジャパンにとっても、自身の武器を増やそうと取り組んできた平田のシュートは、重要な攻撃のオプションとなった。

 この試合、先制点を挙げたFP新井裕生も2ゴールを記録。ピヴォが揃って2ゴールを挙げることは、前回大会にはなかったこと。「僕らが点を取ると、チームもやっぱり盛り上がりますし、勝利につながるプレーをどんどんしていきたいです」と、力を込めた。

 前回大会、初戦でサウジアラビアに0-1の敗戦を喫した日本は、続く韓国戦に6-0で勝利して一気に優勝まで駆け上がった。今大会もキルギスに2-3で敗れ、韓国に5-0で勝利と、似た道を辿っている。アルトゥール、清水を欠くなかで、その穴を補う平田のような活躍を見せる選手が出てくれば、チームは大会連覇に近づくとともに、大きな底上げもできることとなる。

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