競技規則の適用ミス否定 名古屋×横浜FMの交代問題、JFA審判マネジャーが語る「別の最適解」

名古屋対横浜FM戦で起きた”交代問題”にJFA審判マネジャーが言及(写真はイメージです)【写真:高橋 学】
名古屋対横浜FM戦で起きた”交代問題”にJFA審判マネジャーが言及(写真はイメージです)【写真:高橋 学】

1人少ない横浜FMが失点して監督やベンチスタッフが怒り

 日本サッカー協会(JFA)は、4月3日にレフェリーブリーフィングを開催。審判交流プログラムや3月末までのJリーグの事象が取り上げられるなかで、3月30日のJ1リーグ第5節名古屋グランパスと横浜F・マリノスの試合において選手交代の際に問題が起こった件が説明された。

 後半30分過ぎに横浜FMはDF畠中槙之輔の交代を用意したが、その直後にピッチで座り込んでしまったMF渡辺皓太の治療を開始。一旦ピッチ外へ出る最中、横浜FMは渡辺との交代要員としてMF山根陸を準備させた。

 名古屋側もこのタイミングで2枚替えを用意して、その選手交代が行われた一方、手続きで揉めていたなかプレー再開。畠中、山根を投入できないまま、10人のまま横浜FMが戦うことになり、そのプレー中に名古屋のゴールが生まれた。横浜FMのハリー・キューウェル監督やベンチスタッフも怒りを見せ、Jリーグは松崎裕通訳に不適切な言動があったとして2試合のベンチ入り停止処分を下した。

 ロシア・ワールドカップ(W杯)の審判員に選出されるなど国際主審としても活躍したJFA審判マネジャーの佐藤隆司氏は、その交代が横浜FMにとって現行ルール内での制限にあたるハーフタイムをのぞいて3回目の交代になったことで、横浜FMが用意していた交代を一度待って、負傷者に対する交代を追加しようとしていたと状況を話した。

 そのうえで、その試合を担当した審判団とも話をした内容として、「競技規則の適用ミスではなく、競技規則上で再開してはダメだというものではないが、別に最適解があったのではないかということ」と話した。

 佐藤マネジャーは「第四審判としては、交代選手に関するものは業務が多い。交代の際には、交代回数と人数のチェック、交代用紙とメンバー表の原本との照合、用具のチェック、Jリーグでは交代ボードを用意する。時間がかかっていくなかで、大きなプレッシャーも受けている。名古屋のスローインで再開準備ができているということで、再開させてしまった。ピッチ上の主審もプレッシャーを感じてしまい、実際の時間よりも浪費していると感じてしまった」と、レフェリーが受けた心理的なプレッシャーも要素に挙げた。

 このような状況で両チームが交代を用意するなかで、一方のチームが交代を追加、取り消しをするなどして同じタイミングでの交代にならないことは起こり得るものだが、この場合はピッチ上が11人と10人になってしまう状況だったことを踏まえ、佐藤マネジャーは「当該の審判員に伝え、Jリーグの担当レフェリーにも共有した。受け入れられるレフェリングが大事ではないかと伝えた」と話していた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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