平壌開催中止ドタバタ劇「考えられない」 日本代表OB驚愕も指摘「危険も考えれば良かった」【見解】

日本代表OBが平壌開催の中止に言及【写真:ロイター】
日本代表OBが平壌開催の中止に言及【写真:ロイター】

【専門家の目|栗原勇蔵】平壌でのゲームには不安要素が満載

 日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は3月21日、26日に予定されていた北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のアウェー朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦において、平壌開催が中止になると発表した。2011年11月に行われた平壌開催の前回対戦に出場していた元日本代表DF栗原勇蔵氏は「このドタバタは考えられない」と吐露している。

 日本代表は3月シリーズで21日に東京、26日に平壌でW杯アジア2次予選の北朝鮮戦を行う予定だった。21日にホームで行われた試合は、MF田中碧のゴールで1-0と勝利したが、試合後には田嶋会長から26日の平壌開催は中止となったことが明かされた。

「今朝、突然AFC(アジアサッカー連盟)に対してDPRコリア(北朝鮮)から平壌での開催が難しいとレターで来た。それを受けたAFCは、(マレーシア時間の)3時までに対抗案としてニュートラルベニューがどこかなど全部をセッティングしてDPRコリアの責任の下にやりなさい、と」

 第3国や日本で再度開催する可能性などを模索しているが、突然の決定だけに現時点では見通しは立っていないという。

 田嶋会長の「我々も今日聞いて、今に至る」「FIFA(国際サッカー連盟)からのジャッジメントを待つしかない」という言葉からもドタバタぶりが窺える。

 2011年11月に行われたブラジルW杯アジア3次予選で平壌での試合を経験している栗原氏は、「正直、このドタバタぶりは考えられない」と唖然。「理由が不透明ではありますけど、スポーツの世界で国の思惑が交錯するのは厳しい」と吐露した。

 一方で、栗原氏は安全面を考慮したうえで、「ただ、日本の選手からすれば、平壌に行くこと、平壌で試合をすることには不安要素があり、危険が伴う可能性もあったと考えれば、(平壌開催中止は)良かったとも言える。ポジティブに捉えて、次の試合に向かうしかない」とも語っている。

 現状では、日本代表は3月22日に出国の予定だったが、それは取りやめとなっており、今後の動向が注目される。

栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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