メッシ神戸戦出場が中国・香港で波紋 関係者が遺憾の意を表明「納得のいく説明をしてほしい」

神戸戦の後半途中から出場したリオネル・メッシ【写真:徳原隆元】
神戸戦の後半途中から出場したリオネル・メッシ【写真:徳原隆元】

2月4日の香港での親善試合は欠場

 アジア遠征中の米メジャーリーグサッカー(MLS)インテル・マイアミは2月7日、J1ヴィッセル神戸と親善試合を行い、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシは後半15分から出場した。メッシは2月4日の香港リーグ選抜との一戦は欠場しており、香港を中心に波紋を呼んでいる。

 インテル・マイアミは香港で地元・香港リーグ選抜と対戦(4-1)したなかで、看板選手であるメッシが欠場。中国本土や香港ではファンに限らず、メッシが出場する前提で香港政府が1600万香港ドル(約3億円)の支援を確約していたこともあって、香港の政府首脳まで苦言を呈する事態になった。

 批判を受けて、イベント主催会社「TATLER」社は香港政府から支援を約束されていた1600万香港ドル(約3億円)を放棄。メッシも自身の中国版X(旧ツイッター)の「微博(Weibo)」で、負傷により致し方なく欠場したと釈明した。

 しかし、インテル・マイアミは香港を離れて日本へ渡り、2月7日に東京・国立競技場でJリーグ王者の神戸と対戦。この試合でメッシは後半15分からMFデイビッド・ルイズに代わって途中出場した。これにより、再度中国と香港で批判が爆発している。

 中国紙「環球時報」によれば、香港政府の文化体育旅行局長の楊潤雄(ヤン・ルンション)氏は、「香港でメッシが負傷で欠場したにもかかわらず、3日後に日本で試合出場して激しい運動を行ったことに、多くの香港市民が疑問を抱いている。『TATLER』社や主催側は香港市民に対して納得のいく説明をしてほしい」とコメントしたという。

 香港立法会議員(国会議員に相当)スポーツ文化面担当の霍啓剛(フォク・カイコン)氏も、自身の微博で長文を発表。厳しめの口調で、関係者の説明を求めている。

「日本でメッシの出場を見て、同時に香港4万人の観衆が失望した場面を思い出して、とても心苦しい。改めてメッシ、インテル・マイアミ、クラブ主席のデイビッド・ベッカム、主催者『TATLER』社に、民衆への説明を求める」

「香港・スポーツ界の代表議員として、この件を不問に付すことはできない。『TATLER』社が1600万(香港ドル)を放棄したとはいえ、すでに数百件以上の苦情が来てその数字は伸び続けている。この件は香港の形象を傷つけ、市民の利益に関わることだ、回答が欲しい」

「クラブの日本でのパフォーマンスや計画にコメントすることはないが、すべて香港のサファンの傷口に塩を塗っている。また、ベッカム氏は香港遠征を盛んに宣伝していたが、日本には行かずにカタールへ行った(アジアカップ準決勝を観戦)。日本行きは彼と関係ないのか?」

リオネル・メッシは香港リーグ選抜との一戦で欠場【写真:ロイター】
リオネル・メッシは香港リーグ選抜との一戦で欠場【写真:ロイター】

親善試合の欠場は「これほど反響を呼んだのはメッシが初めて」

 中国本土でも多くの批判があり、著名なジャーナリストの徐澤鑫(シュー・ゼーシン)氏は、「メッシは多くの中国人ファンの愛情を失った。彼が広告を務める多くの中国企業や、3月に予定されているアルゼンチン代表の中国遠征にも影響する。メッシが来たら、中国のファンは見ない・チケット買わない・応援しないのが一番のアンサー(答え)だ」と批判した。

 また、怪我で欠場したメッシが3日後にピンピンした姿を見せたことで、多くのファンが皮肉を込めて「日本の医学は凄いな!」と投稿している。

 なお、今年1月にポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが所属するサウジアラビア1部アル・ナスルも中国遠征をしているが、ロナウドの負傷で事前に延期&チケットを払戻ししているが、中国内では事前説明もなく欠場したメッシとの対比で、ロナウドの評価が急上昇。元中国代表FWで、イングランド1部マンチェスター・ユナイテッドでロナウドとチームメイトだった董方卓(ドン・ファンジョ)氏は、自身とロナウドが話している写真をアップして、「彼は責任感がある」と投稿している。

 ジャーナリストの楊天嬰(ヤン・ティエンイン)氏は、「サッカーの歴史上、親善試合での欠場が、これほど反響を呼んだのはメッシが初めてだろう」とした。今回の一件は香港政府の支援などさまざまな要素が絡み合って大騒ぎになっているが、これもまたメッシの偉大さを象徴するエピソードだろう。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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