J2清水のキャンプで「目に留まった」 乾らが存在感放つなか…31歳が公言「評価上げたい」【コラム】

J1復帰を目指す清水が鹿児島キャンプを開始【写真:徳原隆元】
J1復帰を目指す清水が鹿児島キャンプを開始【写真:徳原隆元】

J1復帰を至上ミッションとする清水、新シーズンで目指す戦いのベースは?

 J1復帰を至上ミッションとする清水エスパルスが、2月1日から鹿児島でキャンプを開始した。本拠地の三保での練習から仕切り直しとなった、キャンプ2日目は体力強化やパス交換などの基本プレーが中心に行われた。そして、最後にゲーム形式の練習に取り組む。

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 チームのコンセプトはDF陣が最終ラインで敵を交わすボール回しから始まる。DFはタイミングを見て、攻撃の起点となる左右のサイドと中央の選手へとボールをつなげる。

 ボールを持った選手は前線へと進出。攻撃へのスイッチが中央から入る時は、ボール保持者を後方の選手が猛ダッシュで追い越していく。その追い越した仲間にスルーパスが送られ、受けた選手がフィニッシュまで持っていくプレーが基本になっているようだ。

 また、サイドの選手が起点になる場合は、ドリブル突破や後方からのロングパスを受けてゴールラインの深い位置まで進出し、中央へクロスを送る。中央と切り崩した逆のサイドの選手は、全力でゴール前へと走り込み、センタリングに合わせてゴールを狙う。こうした一気に相手ゴールを急襲するスピードある攻撃を繰り返していた。

 そのスタイルの中心選手になっていたのは、左サイドを主戦場とするカルリーニョス・ジュニオだ。背番号10を背負うブラジル人は、馬力のあるドリブルで前線へとボールを運び攻撃をリードする。

 中央は去年からトップ下を担う乾貴士が君臨する。

「この年齢になって左サイドをやるのは厳しい。左サイドは推進力のあるカルリーニョスがやるのが一番だと思います。代表で言ったら三笘君とか、自分はもうそういうタイプではない。真ん中で違いを見せるのが特徴なので、そこを最大限に出していければと思っています」

 そう言う乾のプレーは相変わらずしなやかだ。ゴールを背にしてボールを受け取ると、素早く反転しドリブル、あるいはパスコースを探す。ボールタッチも繊細で、一連のプレーを流れるようにこなしている。

J1昇格に向けて攻撃面を強化【写真:徳原隆元】
J1昇格に向けて攻撃面を強化【写真:徳原隆元】

昨季あと一歩で昇格逃し…選手の口から出た「勝負強さ」

 昨年からのチームの流れを考えると、乾とカルリーニョスが清水の攻撃の起点となることは十分に予想できたが、なにより目に留まったのは右サイドだった。前記した2人がミッドフィールドから攻撃のスイッチを入れているのに対し、右サイドはDFの北爪健吾が一気にドリブルで攻め上がりチャンスを演出。右翼の攻撃の起点となっていた。

 その31歳の北爪は「去年はチームに勢いをもたらしたり、状況を変えなければならない場面での、途中出場が多かったですが、スピードとダイナミックな攻撃参加が自分の特徴です。コンディション的にも(経験の浅い)若い選手ではないので、身体との向き合い方もだいぶ慣れてきて、(清水での)活動も2年目になるので順調にきています」と言葉からもその好調さが窺える。

 当然だが、どの選手にもチーム内には同じポジションを争う選手がいる。北爪にも強力なライバルがいる。

「競争もあるなかで瞬間、瞬間で与えられている役割や自分の力を最大限に発揮できるような準備は常にしていきたいと思っています」

 そして「個人としてはゲームを動かすプレーを意識し、プロの世界なのでただプレーが良かったというのではなく、結果を出して自分の評価を上げたい。(去年は)チームとしても、あと1つ結果が足りなかったので、今年はその去年の経験を活かしてチームに貢献したい」と新シーズンを見つめる。

 乾も「上手い選手はたくさんいますが、やはり決め切るところとか、勝負強さというところでは自分も含めてまだまだなのかなと。もう1つ突き抜けられる選手のいるチームが(J1に)昇格していると思うので、勝負強い決め切れる選手にならないといけない」と気持ちを新たにしている。

 2日の時点では新助っ人FWのルーカス・ブラガは、まだ練習に参加していなかった。チーム構築もここから本格化することになる。そして、開幕戦のスターティングメンバーに名を連ねるのは誰になるのか。

 乾が「目標はそこしかない」というJ1昇格の戦いの前に、選手たちにはレギュラー獲得のサバイバルレースが待っている。

(徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)



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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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