GK鈴木彩艶に落胆の声も…「荒削り」のなかで見せた光明 日本代表OB言及「やはり凄い」【見解】
【専門家の目|金田喜稔】アジア杯で2戦連続起用「育てようとしているのが分かる」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、1月19日にカタールで開催中のアジアカップ・グループリーグ第2戦でイラク代表(同63位)と対戦し、1-2で敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、GK鈴木彩艶(シント=トロイデン)について「失点につながったのは反省材料」と課題を指摘した一方、「やはり凄い」「ポテンシャルは計り知れない」と評している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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初戦のベトナム戦(4-2)で不安定な対応から失点を招いた鈴木だったが、第2戦もスタメンに名を連ねた。金田氏は「鈴木はよほど期待されているのだろう。育てようとしているのが分かる。GKにはJ1リーグで優勝した前川黛也(ヴィッセル神戸)もいるし、第2戦は交代するかと思ったが、そのまま鈴木を起用した。そこに育てようというチームの意志も含まれているように感じた」と語る。
イラク戦の前半5分、クロスボールに反応した鈴木はパンチングでクリアを試みた。一度は弾いてピンチを凌いだかと思われたが、ボールはそのままゴール前へと流れてFWアイメン・フセインにヘディングで押し込まれて失点した。
金田氏は失点場面を振り返り、鈴木の課題を挙げる。
「あの弾き方では不十分だったし、結果的に失点を招いてしまった。厳しく言えば、第1戦と同じように中途半端な対応と言える。反応自体はしっかりしているが、技術でカバーできる範疇だったのも事実で、ファンから落胆の声もある。鈴木は確かにまだ荒削りな面が目立つ。第2戦でもクリアがやや中途半端になり、失点につながったのは反省材料だ」
その一方で、改めてポテンシャルに魅力を感じたという金田氏。スポンジが水を吸うように、今まさに経験を積みながら急成長を遂げている21歳GKに期待を寄せる。
「やはり凄いなと思ったのは、鈴木のビルドアップ能力だ。足もとのボールをフィールドプレーヤーのように冷静に捌き、精度も高い。あれだけ足もとの技術があると、後方で回せるDFが1人増えたようなものだから、日本のパスワークにとって大きな武器にもなる。それにスローイングも驚異的で、足もとと強肩に加え、身体能力、今後の伸びしろなども考えると、総合的なそのポテンシャルは計り知れない。森保監督たちも、まさにそこに期待しているのだと思う。この経験を次に生かしてほしい」
24日の第3戦インドネシア戦は引き分け以上で日本のグループ2位通過が決まるなか、再び鈴木が先発に名を連ねるのか注目が集まる。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。