【専門家の目｜栗原勇蔵】中村の勝ち越し弾がなかったら「後半どうなっていたか」

　森保一監督率いる日本代表は、1月14日に行われたアジアカップのグループリーグ初戦でベトナムに4-2で勝利。セットプレーから2失点を喫し、一時逆転される苦しい展開を強いられるなか、MF中村敬斗が技ありの勝ち越しミドル弾を決めてチームを救った。元日本代表DF栗原勇蔵氏も、三笘薫に次ぐ第2オプションとして期待を寄せている。（取材・構成＝FOOTBALL ZONE編集部）

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　日本は前半11分にMF南野拓実のゴールで先制したが、その5分後にセットプレーから鮮やかなバックヘッドを決められて失点。さらに、同33分には再びセットプレーからシュートを放たれ、GK鈴木彩艶が弾いたところを押し込まれてベトナムにまさかのリードを許した。

　前半45分に南野がこの日2点目、さらに同アディショナルタイムにはMF中村敬斗がペナルティーアーク左横から華麗な勝ち越しミドル弾を決めて、再びリードを奪った日本。後半40分には途中出場のMF久保建英からFW上田綺世へとつながり、4点目を奪って勝利を決定付けた。ベトナム相手に苦戦したものの、MF三笘薫やDF冨安健洋がベンチ外、久保がベンチスタートだったなかで、大会初戦を白星スタートで飾った。

　日本代表OB栗原氏は左サイドで先発し、後半18分までプレーした中村について「あのシュートは凄くて驚きもあった」と触れた。

「ベトナムも今の日本の攻撃の形というか、ストロングポイントのところは対策してきていて、中村や（右サイドの）伊東純也は意外に突破できなかった。スピードのある選手を置いて、なおかつ2列目の選手を挟み込むディフェンスをしていたので、かなりやりづらそうではありました。そのなかで、中村があのシュートを決めた。あれがなかったら、後半どうなったか分からないし、ベトナムの守備はもっと集中力を増していたはず。日本も焦りが出ていたと思うし、そういう意味では素晴らしいゴールだった」

　ベトナム戦はコンディションが万全ではないため、三笘がベンチ外となったが、日本代表の左サイドは三笘が絶対的なレギュラーと言っていい。そのなかで、与えられたチャンスを生かした中村に対して、栗原氏は「あのシュートを打てるんだったら、一発あるから使いたいよねとなる」と期待を寄せる。

「突破は相手ありきだと思いますけど、ああいうシュートが打てるのは飛び道具に近い。ブレ球もそうですけど、相手が守備を固めた時にミドルレンジから打てるのは1つの武器になる。三笘がいるのでまずは三笘の調子次第ですけど、十分に戦力になると思います」

　代表戦6戦6ゴールと驚異の決定力を誇る中村が“二番手”で控えるのは、森保監督としても心強いに違いない。