「伝えていく義務はある」 青森山田スタメン唯一の2年生DFが担う優勝経験の“伝達役”【高校選手権】

大きなインパクトを残した小沼蒼珠【写真:徳原隆元】
大きなインパクトを残した小沼蒼珠【写真:徳原隆元】

小沼蒼珠は自身のサイドから失点したことを悔やむ

 第102回全国高校サッカー選手権決勝は1月8日に国立競技場で行われ、青森山田(青森)が近江(滋賀)を3-1で下して優勝の栄誉を掴んだ。

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 その青森山田の先発メンバーのなかで、唯一の2年生であるDF小沼蒼珠は、コーチングスタッフからの「自分たちの中で想定内を作っておけってずっと言われてて」との言葉で平常心を保っていたという。

「失点したり、逆転される場面というのも、自分たちは想定していたので」と話す小沼は、「1点失点しても『想定内、想定内』ということで、チームとして、言葉として出ていた」のだという。

 だから、1-0で迎えた後半開始早々2分の失点にも青森山田イレブンに動揺はなかった。さらに言うと、「前線には素晴らしい選手がたくさんいるので。そこはやっぱり守備が1失点で抑えたら我慢すれば勝てると思っていたので。そこは落ち着いてましたね。1失点しても」と話す。信じられる選手たちに最前線での仕事は委ね、試合を進めた。

 その小沼は近江のテクニシャンであるMF鵜戸瑛士とMF山門立侑に対し、積極的に対応。彼らにボールが入ると迅速にアプローチしてスペースを削り、思い通りにプレーさせることはなかった。

「相手が3-4-3という可変的なシステムでやるっていうのはミーティングでも話していたので。10番(DF金山耀太)のサイド(青森山田の右サイド)じゃなくて、自分たちのサイド(青森山田の左サイド)でボールを奪うということはミーティングで話してたので。そこは意識してました」

 そんな対人の守備について小沼は「そういった対人という場面では、自分をよく戦えてたなって思うんですけど」と述べるが、失点したのが自分のサイドだったということもあり、手放しで喜ぶことはなかった。

「やっぱり失点したシーンは自分が簡単に入れ替わってしまって。市船戦(での失点)もそうですし。自分のサイドからやられているので。そこは来年に向けてそこは修正していかないといけないなと思います」

 優勝しても反省しきりの小沼は唯一の2年生レギュラーとしての経験を来季、チームに伝える大役が控えている。

「自分が数少ない2年生として、こういった大舞台、プレミアファイルもそうですし、選手権も経験してるので。それを伝えていく義務はあると思います」

 だからこそ、「伝えていく以外にもやっぱプレーでもしっかり引っ張っていきたいので。この経験だったり、やっぱり自分が言うからにはこそ、自分が一番努力しないといけないと思っていますし、それは今までもずっとやってきたので。しっかりしっかり毎日積み上げて、これからもずっと毎日積み上げて、言葉だけじゃなくプレーでもしっかり存在感を示していきたいです」と来季を見据えていた。

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江藤高志

えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。

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