決勝初の滋賀・近江は“若き海賊” 「どんな相手にも勇敢に立ち向かう」戦士たち…決勝進出の裏舞台【高校選手権】

決勝進出を決めた近江高校【写真:徳原隆元】
決勝進出を決めた近江高校【写真:徳原隆元】

前田監督が決勝進出の裏舞台を明かす

 1月6日に第102回全国高校サッカー選手権の準決勝が行われ、近江(滋賀)が堀越(東京A)を下し決勝進出を決めた。その近江を率いる前田高孝監督が決勝進出の裏舞台を明かす。

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「堀越さんの映像を朝方まで見て、金山(耀太)がウイングバックの方が堀越さんには効果的じゃないかという結論に至りました」

 ポイントは「中に入ったり、外に出たりできる金山をどこでフリーにするか」ということ。その金山は左ウイングバックのポジションからピッチを自由に動き、前半22分には決定的な3点目を決め前田監督の期待に応える働きを見せた。

 そんな前田監督は朝方まで続けたという分析を振り返り「徹夜まではいかないんですけど、僕ら初めて選手権でこうやって勝ち上がらせてもらって、なんて言うんすかね、もう起きてんのか寝てんのか、もうわからんような。また次、決勝に向けての準備が始まりますし。なんかもう、夢なのか現実なんか分からない状態です」と口にして報道陣を笑わせた。

 近江は今大会、後半からギアを上げてくる印象があるが、堀越戦では前半だけで3得点。立ち上がりからトップギアで試合に入ったその戦いぶりについて前田監督は「別に普段、前半はやめとけよとは言ってないんですよね」と苦笑いしつつ「聖地、国立競技場のあの雰囲気で乗っちゃったんじゃないですかね」と口にして32,637人を集めた国立が選手たちをのせた側面があったのではないかと指摘する。

「スタッフもびっくりしました」と前半だけで3得点の選手たちのプレーを驚きつつ「神村さんとの試合は後半15本打って3点、5本に1本しか入らないからたくさん打つしかないと。そうしたらポンポン入って。ハーフタイムに何を言おうかと思いました」とまた会見場を笑わせた。

 なお、滋賀県勢の前回王者は18大会前の野洲。“セクシーフットボール”というキャッチフレーズで知られたが、そうしたキャッチフレーズが無いのか、会見場で求められた前田監督はひとしきり悩んだあと「セクシーフットボールは18年前なので知らない年代なんですよね」と一言口にして「一応『Be Pirates(海賊になれ!)』というスローガンでやってますので、それを上手く書いていただければ」としていた。

 ちなみにBe Piratesの意味については、近江高校サッカー部の公式サイトで次のように表記されている。

「私たちは、海賊のように仲間の絆が深く、活気に満ち溢れ、どんな相手にも勇敢に立ち向かう。目標に向かって、夢中になれるチームでありたい。そして、海賊のように勝利のために泥臭く戦い、琵琶湖を有する湖国から全国の大海原で暴れたい。そんな願いを込めています」

 琵琶湖畔から全国の大海原に遠征してきた若き海賊たちはプレミアファイナル王者の青森山田に対し大暴れすることができるだろうか。

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江藤高志

えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。

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