果たしてブラジルへの切符を手にできるのか 中村憲剛の「変わらない」魅力

ブラジルW杯メンバーに推す声は少なくない

  そればかりか、ここぞの場面では一気に加速して自ら前に出ていく。41分の阿部勇樹、56分の那須大亮が受けた警告は、いずれも中村の攻撃参加をファウルで止めた結果だった。  
 さらに、守備での位置取りやプレスのタイミングが秀逸だった。時にはカウンターに参加せず最終ラインのカバーをこなし、必要とあれば相手のパスコースを切りながらプレスを掛けてボールを奪う。積み重ねてきた経験がベテランらしい安定感を醸し出していた。  
 中村憲剛のブラジル・ワールドカップのメンバー入りを推す声は少なくない。だが、選手はそれで何かが変わるわけではないだろう。  
 1試合1試合、今までのことを継続した先に、もしかしたら良い知らせが待っている可能性がある。だから自分の中で努力を続けていれば良く、精度を上げていくことが最良の策である。川崎で12年目のシーズンを戦う背番号14には、そんな変わらない姿勢が魅力に映った。

  【了】


 
田口和生●文 text by Kazuo Taguchi

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