浦和ホセ・カンテ「1試合だけで家に帰りたくない」 現役最後の舞台へ…大一番の前に見せた冷静と情熱【現地発】

浦和のホセ・カンテ【写真:徳原隆元】
浦和のホセ・カンテ【写真:徳原隆元】

浦和は15日にクラブ・レオンと対戦する

 浦和レッズのFWホセ・カンテは、現役最後の舞台となるサウジアラビア開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)を控え、普段と全く変わらない穏やかな表情で「勝利。浦和のために勝ちたい、ベストを尽くすだけ」と話した。

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 プレシーズンからセンターFWの獲得が難航していた浦和は開幕後の3月、中国の滄州雄獅でのプレーを終えていたカンテと電撃契約。当初はコンディションを上げるのに苦労していたが、夏以降は浦和でスタメンに定着。特に、ペナルティーエリアのやや外から意表を突いたタイミングやGKにとって難しいコースに決めていくシュートが「理不尽ゴール」と話題を呼んだ。

 しかし、スペイン出身で父親のルーツであるギニア代表でのプレーを選択していたカンテは、10年近く続いた海外でのプレーの中で7歳の息子と過ごす時間を大切にする、父親として過ごす時間を作るために今季限りでの現役引退を決断。「ふつうのお父さん」になる前、サッカー選手として最後の舞台がクラブ世界一を決める大会になった。

 それでも、12月15日にクラブ・レオン(メキシコ)と対戦する初戦の前日練習を終えた後も、普段と変わらない穏やかな表情と語り口を見せた。その言葉は「同じですね、変わらず。気持ち、野望があって、明日の試合を待ち切れない。早く試合がしたい。(その野望は)勝利。浦和のために勝ちたい、ベストを尽くすだけ」と強いものだが、声を聞かずに表情だけ見れば全くそのようなコメントをしている選手には思えないような落ち着きだった。

 今大会は、初戦を勝利すれば準決勝でマンチェスター・シティ(イングランド)と対戦。その結果が決勝戦に進むにせよ3位決定戦に回るにせよ、大会最終日まで3試合を戦うことができる。しかし、初戦に敗れればそれで敗退になってしまう。キャリアの最後に差し掛かっているだけに、カンテは「本当に1試合だけで家に帰りたくない。特にこの大会に関しては。勝てば次がさらに特別な試合になるのが分かっているので。間違いなく2日後には帰りたくない」と、その思いは強い。

 クラブ・レオンは5バックをベースに鋭い攻撃を狙うと見られるが、カンテは「学んでいます、彼らのことをこの数日間。ハードな試合になるし、未知な部分もある。中南米の相手はあまり慣れていないので、かなり異なる相手なので。ただ、常に分析チームもきちんとミーティングをし、どのように戦うか準備はできている。もちろん知りたい要素もあるが、準備はできている」とコメント。サウジアラビアの地から、理不尽な一撃で世界を驚かせる場面が期待される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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