ブライトンは「全く悪くない場所」 ファインダー越しに感じた三笘が長期契約を結んだ理由【コラム】

ブライトンMF三笘薫【写真:徳原隆元】
ブライトンMF三笘薫【写真:徳原隆元】

【カメラマンの目】味方からの信頼を自信に変えてプレーする姿に感銘

 久しぶりにヨーロッパサッカーを取材に来ている。11月9日にはオランダのアヤックスと三笘薫が所属するブライトンが対戦したUEFAヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第4節を撮影した。

 試合は2-0でアウェーのブライトンが勝利を収めた。勝利したとはいえ内容的には見るべきものが少なかったブライトンだが、それでも選手たちは試合後にはイングランドから敵地へと駆け付け、声援を送り続けたサポーターたちとともに勝利を分かち合った。当然、三笘も歓喜の輪の中に加わり、ジョアン・ペドロやシモン・アディングラと健闘を称え合う。その場面をカメラのファインダーに捉えてシャッターを切った。

 三笘は今年10月、ブライトンとの契約を2027年6月までに延長した。チームとしては攻撃の核として活躍を続ける三笘に、少しでも長くプレーしてほしいと望むのは当然の考えである。

 現在の三笘を評価すれば、ブライトンより総合的にレベルが高いクラブでも、十分に活躍できる能力を秘めていることは間違いない。しかし、ハイライト映像などではなく、実際にこうしてライブで彼のピッチでのプレーや試合前後の仲間たちとの関係を見ると、さらなるレベルへと挑戦する志向より、現状であるブライトンでのプレーを選択した理由も分かったような気がする。

 言うまでもなく三笘のドリブルはブライトンの攻撃において最大の武器となっている。三笘自陣も自分のプレーに自信を持っているだろうし、周囲の選手たちも背番号22番のドリブルの切れ味をしっかりと認識している。

 左サイドで後方の選手がボールを持てば、三笘はパスが送られることを信じて前線へとタイミングを計って走り込む。そして、周囲の選手たちも三笘の位置や動き出しに注意を払っていることが見て取れた。

 自分の得意としているプレーをピッチで発揮するために、仲間がサポートしてくれる。ボールを供給してくれるから、仕掛けの回数が増えチャンスを作り出せる。三笘が成し遂げたチームにおける地位の確立は、より能力を発揮しやすくなる好循環を生んでいる。そうしたプレー環境に充実感を覚えない選手はいないだろう。味方の信頼を自らの自信としてプレーする。

 三笘にとってブライトンは全盛期をプレーするクラブとしては、全く悪くない場所だ。

(徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)



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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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