森保監督に求めたい“日本最高峰”の共有 日本代表の非公開練習…現時点では止めませんか? 

非公開練習を行った森保監督【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
非公開練習を行った森保監督【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

【識者コラム】森保ジャパンのトレーニングは日本のサッカー選手の目標になり得る

 3月22日、日本代表は冒頭部分だけを公開して練習を行った。

 この日のピッチにはGKがトレーニングするサイドしかゴールがセットされておらず、戦術練習のためのダミー人形、コーンやマーカーはセットされていなかった。

 第1次森保ジャパンでは最初の練習で攻撃の全体像を提示した。ボールを奪った状態から素早く前につなぎ、ペナルティーエリアの角付近の攻略3パターンからフィニッシュに持っていくまでという、森保監督が狙うサッカーを明らかにした。

 だが第2次森保ジャパンではすでに戦術を理解している選手が揃っている。今回新しく招集されたのは4人だけ。となると、これまでの活動同様の形で選手を馴染ませていくものだと思われる。

 当初は冒頭15分間のみの予定だったが、森保一監督は公開継続を決断。スローインからのボールキープゲームなど、複数の要因を組み合わせたトレーニングを45分間報道陣に見せた。

 森保監督はできる限り練習を公開するとしながらも、試合の2日前からは非公開にすると宣言している。その言葉よりも公開時間は30分延びたのだが、果たして現時点で非公開にするのが本当にいいのだろうか。

 日本代表の練習は、日本最高峰の選手たちが集められ、日本最高峰のトレーニングが行われる場。そこで行われているトレーニングは、日本のサッカー選手の目標になり得る。同じ練習をしても、スペースやスピードなどの違いを知ることができれば、何を目指さなければならないかハッキリするからだ。

森保監督なら、オシム氏のように報道陣を煙に巻くことができるはず

 森保監督は非公開練習の目的を「選手を集中させたい」と語ったことがある。さまざまなプライドや背景を持って集合した選手が、レギュラー組なのかどうか知られることが雑音を生むのではないかという考えなのだろう。

 かつて故イビチャ・オシム監督は、日本代表の練習を一度もクローズしなかった。それでも報道各社で先発予想は違っていた。それはオシム監督がトップから守備陣までの横を4つのブロック、縦を3つのブロックに分け、さまざまに組み合わせながらトレーニングしていたから。パズルのような選手の組み合わせから先発を解き明かすのが難しかったのだ。理論派の森保監督なら、同じように報道陣を煙に巻くことができるはずだ。

 もちろん、アジアカップやワールドカップ予選、本大会の前はできる限り情報が漏れないようにするのが当然だろう。だが現時点で公開しておくことは、日本が進もうとしている方向を広く知らせることにもつながる。森保監督にはぜひ再考していただきたい。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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