右膝手術で今季絶望の冨安、日本代表OBが負傷経験を基に見解…シーズン離脱は「いい意味で休む時間に」

栗原氏が冨安の負傷に言及【写真:ロイター】
栗原氏が冨安の負傷に言及【写真:ロイター】

【専門家の目|栗原勇蔵】冨安のレベルを考えればバランスを崩す心配はない

 イングランド1部アーセナルの日本代表DF冨安健洋は現地時間3月21日、ロンドンで右膝の手術を受け、今季残り試合を欠場することが発表された。怪我の詳細は明かされていないが、現役時代に膝の内側側副靭帯損傷を経験している元日本代表DF栗原勇蔵氏に、プレーへの影響などについて訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 冨安は現地時間3月16日に行われたUEFAヨーロッパリーグ(EL)ラウンド16第2戦スポルティング戦でスタメン出場したが、前半5分にスポルティングのポルトガル代表FWフランシスコ・トリンコンへの守備で足を滑らせ、約2分後にピッチに座り込んでしまう。同9分にスタッフと歩いてピッチを退いていた。

 右膝に装具をつけ、松葉づえをついて歩く姿が目撃され、3月の日本代表活動も辞退していたなか、アーセナルは21日に「冨安が右膝に大きな怪我をしたことを確認した」として、ロンドン市内の病院で手術を実施したことを発表した。

 アーセナルから怪我の詳細は明らかになっていないが、右膝の内側側副靭帯(MCL)を痛めた可能性が高いとの現地報道もある。2016年に左膝内側側副靭帯損傷(全治4~6週間の見込み)するなど、膝の怪我の経験を持つ元日本代表DF栗原氏は、「内側側副靭帯は、痛みとしては前十字とかよりも上で、一番の部類に入る。足を出しづらくて、痛くてボールも蹴れない。でも、これまで何度も筋肉系を痛めてきたことを考えれば、完治すればそこまで響かないとは思います」と語る。

 内側側副靭帯の場合のグレード、そして、それ以外の箇所の場合によって、全治も変わってくると栗原氏は自らの経験を基に話す。

「(内側側副靭帯の)グレード3にあたる断裂は経験がないですけど、グレード2の損傷を経験したことがあります。グレード2であれば、一概には言えないとはいえ、痛みさえ取れればだいたい1~2か月で動けるようになります。部分断裂になると、カタール・ワールドカップ(W杯)前の板倉(滉)が回復に向けた1つの例になる気がします。彼は約2か月(昨年9月に負傷、手術は行わず保存療法を用いて11月に実戦復帰)でピッチに戻ることができました。ただ、前十字靭帯、後十字靭帯、半月板をやってしまうと全治8か月とかのレベルになってしまうと思います」

 アーセナルは「トミが来季に向けたプレシーズンのトレーニングに参加できるように、クラブ全員がともに一生懸命取り組んでいく」とオフシーズンでの復帰を目指す意向を示しており、栗原氏も「怪我が原因でバランスを崩したりする心配はありますけど、冨安はそんなレベルの選手ではない。スピードが落ちるとかもないと思うので、いい意味で休む時間と捉えてもらいたいです」と語っていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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