J2リーグ「ブレイク候補」7選 元川崎の大卒アタッカーら“隠れた”注目選手を厳選

イサカ・ゼイン(山形/左)&針谷岳晃(磐田)【写真:Getty Images】
イサカ・ゼイン(山形/左)&針谷岳晃(磐田)【写真:Getty Images】

【識者コラム】躍進のシーズンを遂げそうなJ2注目選手を紹介

 今季J2リーグの各チームを見渡すと、質の高いタレントの存在が目に付く。シーズンを通して、チームパフォーマンスはもちろん、彼らの活躍ぶりも見どころの1つとなるだろう。ここでは飛躍の可能性を秘めたブレイク候補7人を独自にセレクト。躍進のシーズンを遂げそうな“隠れた”注目選手たちを紹介する。

■弓場将輝(MF/大分トリニータ/20歳)
今季リーグ成績:3試合0得点

 下平隆宏が2年目を迎えて、戦術的にも完成度が高まっている大分の中盤で、攻守をオーガナイズする。ガツっとボールを奪い、素早く正確なファーストパスを味方に付ける。シンプルだが、この弓場の仕事を抜きに大分の安定したパフォーマンスは語れない。一方で彼自身は個人の結果にもこだわっており、5得点5アシストが目標だという。得意のインターセプトから力強く前に出て、直接ゴールに関わる働きが加われば、藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)など中盤のタレントひしめくパリ五輪代表でのジャンプアップも見えてくる。

■針谷岳晃(MF/ジュビロ磐田/24歳)
今季リーグ成績:3試合0得点

 クリエイティブな中盤のプレーメーカーであり、43歳の遠藤保仁とボランチのコンビを組んで、多彩な攻撃を演出している。ギラヴァンツ北九州での2シーズン半でひ弱さを克服し、守備でも簡単には破られなくなったことが、元日本代表コーチの横内昭展監督が遠藤と同時起用できる理由だろう。遠藤が前に出れば針谷がうしろで捌き、針谷が出れば遠藤が攻守のバランスを取る。セットプレーのキッカーとしても非凡だ。東京五輪世代ながら本大会メンバー入りを逃した1人として駆け上がり、磐田の元同僚である小川航基(横浜FC)、大南拓磨(川崎フロンターレ)と日の丸での共演を実現できるか。

■生駒 仁(DF/レノファ山口FC/23歳)
今季リーグ成績:3試合0得点

 渡部博文、菊池光将という百戦錬磨のセンターバック(CB)が揃って現役引退し、23歳にして最終ラインのリーダーとして期待されている。北九州では横浜F・マリノスの同期でもある日本代表FW町野修斗などと共闘したが、昨シーズンから加入した山口で時に右サイドバック(SB)も経験しながら、中央のポジションを掴んだ。セットプレーからの得点力でも頼りになる選手だ。スケール感のある対人守備を強みとしていたところに経験と統率力が加わり、本格ブレイクの機は熟している。

J2昇格組の藤枝で躍動、開幕3戦1ゴール2アシストのMFに飛躍の予感

■阿部海大(DF/ブラウブリッツ秋田/23歳)
今季リーグ成績:3試合0得点

 高卒ルーキー時代からパワフルな守備を持ち味としていたが、安定して出場チャンスを得られず、秋田に新天地を求めた。移籍の理由は試合に出るだけでなく、吉田謙監督の下で守備を鍛え直すことだというが、開幕戦からCBのスタメン起用に応えて3試合無失点を支えている。特に2連勝中だった藤枝の猛攻を止めた第3節のパフォーマンスは圧巻だった。

■イサカ・ゼイン(MF/モンテディオ山形/25歳)
今季リーグ成績:3試合1得点

 ヴァンフォーレ甲府との開幕戦では後方からのロングボールに抜け出してFWデラトーレのゴールをアシスト。ジェフユナイテッド千葉戦も1点リードされたところから豪快なドリブル&シュートで同点弾を叩き出し、逆転勝利につなげた。大卒プロデビューした川崎フロンターレでは、右SBとしてポジションを確立できなかったが、山形でウイングとして覚醒。縦のスピードと高速クロスを最大限に発揮して、山形の強力な武器になっている。

■平河 悠(FW/FC町田ゼルビア/22歳)
今季リーグ成績:3試合1得点

 鋭い動き出しを持ち味とするアタッカーは、ここまで全3試合にスタメン出場。最初の2試合は右サイドで起用されたが、第3節のツエーゲン金沢戦では左サイドで出場。下田北斗のスルーパスを受けて、鮮やかな切り返しからゴールに流し込み、2-1の勝利につなげた。大学3年から特別指定として町田に加わり、昨シーズンは2ゴール2アシスト。大卒ルーキーだがいきなりブレイクを狙うシーズンだ。

■久保藤次郎(MF/藤枝MYFC/23歳)
今季リーグ成績:3試合1得点

 開幕3試合で1ゴール2アシスト。3-4-2-1の右ウイングバックから良質なクロスを上げたかと思えば、中央に流れて強烈なミドルシュートを叩き込む。ボールを幅広く動かしながら立ち位置で相手から主導権を握る藤枝のスタイルで、サイドから縦に鋭さを加えられる久保のスペシャリティーは明確な武器になっている。昨シーズンはJ3で10得点6アシストだが、J2で同等以上の数字を残せば大きな飛躍も。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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