「前橋育英は今年一番いいチーム」 大津、インハイ王者との8強へ…強豪校との一戦へ指揮官「幸せです」

「初戦は負けゲームのような試合をしてしまったが、もう吹っ切れた」

 後半22分の2点目も外からの鋭い運びからだ。

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 また坂本が右を疾風迅雷のごとく突破し、逆サイドへと速いクロスを配給。田原のシュートはディフェンダーに弾かれたが、こぼれ球を拾ったDF田辺幸久が地を這う強烈な一打を放つと、シュートコースにいた小林が、左足で触って大会初得点を決めた。

 ゴールこそ仕留められなかったものの、後半33分の右から崩してシュートに持ち込んだ一連の動きも美しかった。後半途中から出場したMF岩崎大翔が持ち上がると、その右外から坂本がオーバーラップし、好クロスを山下がボレーで狙った。指揮官が「ほとんど対人では負けない」と評する坂本は、「縦への突破がたくさんあると、攻めのバリエーションも増えます。自分は攻撃的なサイドバックなので、そこは意識しています」とはまさに有言実行のSBだ。

 アディショナルタイムにPKから挙げた3点目にしても、岩崎が右から素早く仕掛けたプレーがきっかけだ。敵陣の最深部に進んでから左に進路を変更し、ペナルティーエリアにまで進入してシュート。このあとにMF稲田翼がPKを獲得し、岩崎がGKに反応されながらも右に沈めて勝敗は決した。

 快勝に主将の小林は「初戦は負けゲームのような試合をしてしまったが、もう吹っ切れてプレッシャーも感じずに戦えました」と初ゴールもあって笑顔が絶えなかった。前橋育英と2大会続けて準々決勝で顔を合わせることについては、「相手は強いが、ともに東西のプレミアリーグ同士なので負けられない」

 小林は前回の対戦で、前半11分の決勝点をアシストしている。敵将・山田耕介監督はまだ対戦相手が決まる前から「大津とやりたい」と雪辱への思いを口にした。

 一方の山城監督は「前橋育英は今年一番いいチームなので、ベスト4を懸けてやれるのは幸せです」と言ったあと、「相手はゴールに向かってくる回数がすごく多いし、うちは浅野が警告累積で出場停止。どうやって守っていこうかな」と笑いながら次戦を遠望していた。

(河野 正 / Tadashi Kawano)



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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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