テレビ朝日・寺川アナが語る本田圭佑との掛け合いの“真実” 「“さん”付け」裏話、刺激的な放送席は「想像を超えていた」

日本戦や決勝戦などで実況を担当したテレビ朝日の寺川俊平アナウンサー【写真:本人提供】
日本戦や決勝戦などで実況を担当したテレビ朝日の寺川俊平アナウンサー【写真:本人提供】

【インタビュー】本田“語録”を生んだ相方・寺川アナが振り返るカタールW杯

 世界中が熱狂し、感動の渦に包まれたカタール・ワールドカップ(W杯)はアルゼンチン代表が36年ぶり3度目の優勝を果たし、森保一監督が率いた日本代表はベスト16で大会を終えた。なかでも話題となったのが、全64試合を無料放送した「ABEMA(アベマ)」の中継だ。日本戦4試合や決勝などで実況を担当したテレビ朝日の寺川俊平アナウンサーは、解説を務めた本田圭佑との掛け合いで日本国内でも関心を集めた。そんな寺川アナが「FOOTBALL ZONE」の取材に応じ、カタールW杯を振り返った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞)

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 多くの本田“語録”が誕生し、日本中での注目となった「ABEMA」の放送。タッグを組んだ寺川アナにとっても「想像を超える」反響となったという。2人の掛け合いは度々話題となり、サッカーファンだけでなく多くの国民の関心を集めた。

 9月中旬、寺川アナはカタールW杯日本代表戦の実況担当が決まった。だが、地上波での放送ではなく、「ABEMA」のネット放送。新たなチャレンジとなるなかで、最初は「落ち込み」からのスタートだったという。

「僕自身、この仕事を選んだのは地上波でW杯の日本代表の試合を実況したいと思っていたからだったんです。日本代表に関わる仕事がしたかった。そのために入社して、12年半ずっとやってきました。『絶対このカタール大会でしゃべりたい』と決めていた。だけど、自分が目指していた『初志』みたいなことを考えるとできなくなった。その瞬間はすごく落ち込みました」

 しかし、その後「ABEMA」での実況担当に決定する。そして、のちにタッグを組むこととなった解説するのは本田だと聞かされた。

「夏休みを長めにいただいて、その時にスポーツ観戦の形がどんどん変わっているなかで、新しいテレビの時代を作るという意味でも光栄なことだと考えるようになりました。(のちに本田がコンビだと聞かされ)本当に嬉しかった。解説をやらない方だと思っていたので。年齢も1つ違いで、どうなるんだろうという怖さもあったけれど、新しさに胸が躍りました」

 10月末、告知用のインタビュー撮影時に初対面。その時から、本田の魅力に引き込まれた。

「こう言ったら変ですが、めちゃくちゃ丁寧な方だな、と。もっと鎧を身に纏っているタイプだと思っていたんですが、全然そんなことなくて、本田さんの経験を踏まえつつ日本代表を後押しするような放送にしたいと僕が思っていることを伝えたら、『ぜひ、それでお願いします』と言われたんです。『これでいいんだ』と安心しました。僕たちアナウンサーはより多くの人に共感と興奮と感動を覚えてもらえるような放送を目指さなきゃいけない。だからこそ、本田さんが熱くなっているところも放送で見たいと思ったんです。ただ冷静に戦術論を語るだけではなくて、熱くなってもらいたいなっていう思いがあった。本田さんもそのつもりだったみたいで、すごく助かるなと思ったし、実際にやった時の映像が浮かびました」

 だが、実際はその想像を「超えていた」。反響だけでなく、掛け合いの中でも予想をはるかに超えていたという。

「僕自身、(本田から)あれだけ質問されると正直思っていなかったんです。突然『メッシの契約はいつまでですか?』と聞かれたり。調べていない……と、放送席がてんやわんやすることもありました。刺激的でしたね」

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