日本のスペイン戦での決勝ゴールが再び渦中に

　森保一監督率いる日本代表がカタール・ワールドカップ（W杯）のグループリーグ第3戦でスペイン代表を2-1で破ったことは、世界でも大きく報じられた。MF田中碧の決勝ゴールを呼び込んだMF三笘薫のアシストを巡って議論が巻き起り、後日にビデオ・アシスタント・レフェリー（VAR）の映像を国際サッカー連盟（FIFA）が公開して一度は収まったが、英国圏のテレビ局が「VARチームが使用した決定的なアングルを見せることをFIFAから止められていた」と伝えて、各国で再び物議を醸している。

　問題となったのは日本対スペインが1-1で迎えた後半6分。ペナルティーエリア内からMF堂安律が送ったグラウンダーのボールがファーサイドに抜け、三笘が戻して中央で田中が押し込んだ。三笘のタッチの際、ゴールラインを割っていたのかどうか際どく、VARが時間をかけて確認。最終的にインプレーが認められ、日本の勝ち越し弾となった。

　このアシストシーンが世界中で話題を呼んだが、後日FIFAがツイッターでVARが確認した映像を公開。試合時には明かされていなかった正確な映像が公にされ、事態は一時収束したかに思われた。

　そんななか、英紙「デイリー・メール」が「スペイン対日本戦のテレビ中継を担当したテレビ局員が、ドイツをワールドカップから追い出す勝ち越しゴールのシーンについて、VARチームが使用した決定的なアングルを見せることをFIFAから止められた」とFIFAの制止があったと指摘。「テレビ局が4回にわたってこの映像の放映を許可するよう嘆願したが、そのたびに許可されなかった」と要求が拒否されたとも伝えていた。

　イタリアメディア「Fanpage.it」は「W杯で最も物議を醸したゴールに対するFIFAの検閲の疑い」と見出しを打ち、「VARが見た画像は試合中も試合後も公開されないことになった。三笘が触れる前にボールが完全に（ラインから）出たように見える下からの画像だけを見せ続けることで、論争を巻き起こしたのは間違いない」と、その対応に疑問が残ることを指摘していた。