【W杯】インパクトを放つ“大会デビューの7人” スペインの18歳至宝、代表初キャップで躍動の28歳GKら厳選

エクアドルは伊東純也の元同僚が躍動、カナダの破壊力抜群サイドアタッカーも必見

■DFアンジェロ・プレシアード(エクアドル代表/ヘンク/24歳)

 MF伊東純也の元同僚としてよく知る人もいるかもしれないが、右サイドから躍動的な仕掛けを見せてエクアドル代表の攻撃に鋭さを与えている。MFモイセス・カイセドを起点に、FWエネル・バレンシアのゴールをアシストしたグループ初戦(対カタール)のクロスは絶妙なタイミングと精度だった。エクアドルは左のDFペルビス・エストゥピニャンがイングランド1部ブライトンでMF三笘薫の同僚で、日本のサッカーファンとしては馴染み深い存在だろう。両翼のアップダウンを見ているだけでも面白い。

■FWヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表/レアル・マドリード/22歳)

 グループ初戦のセルビア代表戦で2得点に絡む活躍を見せ、セレソンを好発進に導いた。1点目はFWリシャルリソンのゴールにつながるシュート、2点目は絶妙な右足アウトの浮き球パスをリシャルリソンへ合わせた。ボールを持つたびにワクワクさせてくれる選手だが、オフの動きもしっかりしているので、FWネイマールやFWラフィーニャらと息の合ったコンビネーションは特筆もの。何よりボールを持ったところからの加速力はフランス代表FWキリアン・ムバッペと双璧を成し、クイックターンでセルビアの屈強なディフェンスを翻弄していた。ネイマールの負傷で先行きが危ぶまれるブラジルだが、攻撃に関してはヴィニシウスが中心になることは間違いない。

■GKアンドリエス・ノペルト(オランダ代表/ヘーレンフェーン/28歳)

 オランダ1部ヘーレンフェーンの下部組織から昇格し、なかなか出番がないまま下部リーグを転々。控えGKも経験しながら今夏に復帰を果たすというだけでも素晴らしいが、さらに代表抜擢でスタメンまで勝ち取った。世の第2、第3GKへ勇気を与えるストーリーだが、パフォーマンスにも説得力がある。28歳での代表初キャップがW杯の初戦という苦労人は、安定したセービングでグループ初戦のセネガル戦でクリーンシートを達成しただけでなく、長短のパスで攻撃のリズムを作った。グループ2試合目のエクアドル代表戦でもチームのパフォーマンスが良くないなかで奮闘。失点シーンはキックミスが間接的に絡んだが、さらに注目していきたい選手だ。

■FWタジョン・ブキャナン(カナダ代表/クラブ・ブルージュ/23歳)

 本番前のテストマッチでも日本に脅威を与えたサイドアタッカーで、ブンデスリーガで多くの猛者と対戦経験のあるDF伊藤洋輝も「速かった」と感想を語る。しかも183センチのサイズがあり、流れの中でスタートを切るタイミングも良い。グループ初戦でベルギー代表に敗れたが、チャンスの数で大きく上回る健闘を見せたカナダ代表にあって、3-4-3の右ウイングから仕掛けのスイッチになっていた。左サイドには大黒柱であるMFデイビッド・ホイレットとFWアルフォンソ・デイビスがおり、攻撃の起点が左サイドになりやすい分、右から飛び出してくるブキャナンはかなり破壊力がある。クロアチア代表、モロッコ代表との試合で勝利に導く活躍ができるか。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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