目標は「3得点」 町野修斗がW杯メンバー“26人目の男”になった意味、注目の起用法は?

日本代表に追加招集された町野修斗【写真:Getty Images】
日本代表に追加招集された町野修斗【写真:Getty Images】

【識者コラム】森保監督は「26人目の男」を守備の選手か攻撃の選手かで熟考

 森保一監督率いる日本代表は、右足アキレス腱を負傷したDF中山雄太(ハダースフィールド・タウン)に代わり、湘南ベルマーレのFW町野修斗をカタール・ワールドカップ(W杯)のメンバーに追加招集した。11月1日に26人が発表された時点でバックアップとして連絡を受けたが、町野は「前向きでした。今できることをやるしかないのかなと思って、落選したあともプレーしてきた」と振り返る。

「湘南ベルマーレを代表して行く。湘南でやってきたことを全力でやりたい」

 町野が狙うのは当然ゴールだ。E-1選手権では大会前に3得点という目標を掲げ、公約どおりに結果を出して見せた。W杯でも「(目標は)3点です」と強気に語るが、9月に行われたドイツ遠征のアメリカ戦(2-0)で、町野自身はシュート0本に終わり、「これじゃダメだなと思ったので、全てを変える覚悟を持ってやってきた」という。

 そうした姿勢が実る形でシーズン13ゴール。J1得点王こそ1点差で逃したが、日本人トップという結果を森保監督も高く評価したようだ。何より、26人のメンバー発表の時にも指揮官が強調していたハングリーさを期待されての選出でもあるだろう。高卒で横浜F・マリノスに加入したが、1年でJ3だったギラヴァンツ北九州に期限付き移籍で出されて、J2昇格に貢献する活躍を見せたが、そのまま完全移籍となった。

「もう一度、J1でやるという反骨真を持ってやってきた。F・マリノスからレンタルに出た時は苦しくて悔しい思いをした。その思いが結果につながった、自分のプレー次第では世界を切り開いていける。ゴールしたい。結果を残したい」

 そうした言葉からもギラギラしたものが伝わってくる。忍者の里として知られる伊賀出身で、ゴール後の“ニンジャポーズ”でも知られる町野は「僕の象徴である忍者ポーズを世界で見せられるように」ゴールを決めていきたいという。左右の足、頭の全てからフィニッシュできる強みを生かすのはもちろん、守備でも貢献していく意識が強い。

 日本代表メンバー構成を考えると、左サイドバック(SB)はもちろん、ボランチ、必要ならセンターバック(CB)でも起用できる中山を欠くことは少なからずダメージだ。代わりの選手はディフェンシブな選手を加えるのがセオリーだが、森保監督はアタッカーの町野を選んだ。DFが9人から8人に減ったが、おそらく26人目をディフェンスの選手にするのか、オフェンスの選手にするのかはギリギリまで悩んでいたのだろう。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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