目標は「3得点」 町野修斗がW杯メンバー“26人目の男”になった意味、注目の起用法は?

上田が第1オプションで途中から町野を投入か

 実際、当初の26人を見ても、攻撃のオプションを考えるとやや心もとなく、特にゴール前でパワーを出せるフィニッシャーが上田綺世(セルクル・ブルージュ)しかいなかったので、町野が加わったこと自体は非常にプラスだ。もちろん大迫勇也(ヴィッセル神戸)の存在は頼りになったはずで、実際にバックアップを打診したが、大迫が断ったことを明かしている。その意思は筆者も尊重したいが、やはりバックアップになっても前向きに準備していた町野だけに、彼が追加招集されたことはポジティブに評価したいところだ。

 オン・ザ・ピッチはもちろん、長い共同生活になる日本代表だけに、ムードメーカーとしても期待される町野。9月の活動でも初招集ながら、上田や三笘薫(ブライトン)と積極的にコミュニケーションをとる姿が見受けられた。本大会の注目ポイントに関しては、「顔がでかいので、そこをイジってもらえば」と笑顔で語る。

 町野の起用法だが、おそらく途中から流れを変えるためのオプションになっていくだろう。スタメンであれば、やはり上田がファーストチョイスになるはず。町野はパワフルなだけでなく、裏抜けも得意としているので、前田大然(セルティック)や浅野拓磨(ボーフム)が先に出て、あとから町野が出てゴール前に迫力を加えていく効果も期待できる。ただ、やはりアメリカ戦の反省をどう生かして行くかは鍵になる。

「年代別にも入れないような僕だったので。ここまで本当に1年で駆け上がることができる可能性というか、ほかの選手にも勇気を与えたい」

 ここまでのキャリアを振り返っても盛りだくさんのストーリーがある町野だが、9月30日に23歳の誕生日を迎えたばかり。このカタールW杯を転機に、日本を代表するストライカーとして世界に羽ばたいていけるか。豪快なゴール、そして世界でニンジャポーズが披露されることを楽しみにしたい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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