「唯一引っかかった」 日本代表OB金田喜稔がW杯メンバー選考で持論、「選んだほうが良かった」と指摘したのは?

日本代表OBの金田氏がゴールキーパーの選考に持論【写真:ロイター】
日本代表OBの金田氏がゴールキーパーの選考に持論【写真:ロイター】

【専門家の目|金田喜稔】「諸条件を踏まえても川島を入れたい理由があったのかも」

 森保一監督率いる日本代表が11月1日、同月20日に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)の大会登録メンバー26人を発表した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、GKの選考について「唯一引っかかった」と持論を展開した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 森保ジャパンは、カタールW杯のグループリーグ第1戦でドイツ代表(23日午後4時/日本時間午後10時)、第2戦でコスタリカ代表(27日午後1時/日本時間午後7時)、第3戦でスペイン代表(12月1日午後10時/日本時間2日午前4時)と対戦する。

 26人のメンバーのうち、GKは権田修一(清水エスパルス)、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)、川島永嗣(ストラスブール/フランス)の3人が選ばれた。

 金田氏は「まず、今回選ばれた26人と森保監督の決断をリスペクトしている。選ばれた選手全員に『おめでとう』と言いたいし、選考で心を痛めたであろう森保監督にも労いの言葉をかけたい。カタールW杯で一丸となってベスト8以上を目指してほしい」と語ったうえで、GKの選考について持論を展開した。

「落選した選手の中にも“いい選手”は多いが、さまざまな条件や要素を加味したうえで、最終的に今回の26人が選ばれた点も重々承知している。誰を選んだとしても賛否は付きまとう。そのなかで唯一引っかかったのはGKの選考だった。現在のコンディションやパフォーマンスレベル、将来性、年齢バランスなど諸々の条件を考えても、GKの1枠は川島ではなく谷晃生(湘南ベルマーレ)だったのではないか、ということだ」

 現在39歳の川島は2010年南アフリカ大会から、14年ブラジル大会、18年ロシア大会を経験。今回4大会連続で選出され、DF長友佑都(FC東京)、MF長谷部誠(フランクフルト)と並び、日本人としてW杯歴代最多タイの11試合出場を誇る大ベテランだ。一方、所属チームでは昨季公式戦2試合、今季ここまで未出場と近年は出場機会が激減している。

「川島はストラスブールでここまで今季出場ゼロ。近年の出場状況を見ても、公式戦の感覚に不安要素を抱えている。そう考えると、コンスタントに出場し、今後の日本代表でも活躍が期待される21歳の有望株・谷が入っても良かったのかなと個人的には感じている」

 谷は2021年の東京五輪で全6試合にフル出場し、好セーブを見せるなど存在感を発揮。惜しくもメダル獲得は逃したが4位躍進の立役者となった。その直後にA代表に初招集されると、7月27日のE-1選手権の韓国戦(3-0)で代表デビュー。ここでも圧巻のパフォーマンスでインパクトを残し、大会優勝に貢献した。

「W杯3大会を経験している川島に精神的な支柱としての働きを期待しているのかもしれないし、GKのユニットとして選んだのかもしれない。ただ精神的な支柱としては、吉田麻也(シャルケ)、長友佑都、酒井宏樹(浦和レッズ)らもいる。権田修一にしても2大会ぶりに選ばれ、経験値も十分ある。川島自身に不満があるわけではないし、選出も尊重している。今後の日本サッカー界を考えると、川島より谷を選んだほうが良かったのではないかと感じたが、裏返すと諸条件を踏まえても川島を入れたい理由があったのかもしれない」

 W杯優勝経験国のドイツやスペイン、14年ブラジル大会でベスト8に進出したコスタリカと強敵が揃う。持論を展開した金田氏だったが、最後は「最終的に選ばれた選手を尊重することに変わりはないし、素直に応援したい」とGKトリオに期待を寄せた。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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