一発退場は妥当? ネイマールの“タックル被害”を元主審・家本氏が考察、「Jリーグならレッドカードを出すレフェリーは少ない」
【専門家の目|家本政明】ネイマールに対する判定シーンを審判目線で見解
フランス1部パリ・サンジェルマン(PSG)は、現地時間10月16日にパルク・デ・プランスで行われたリーグ・アン第11節のマルセイユ戦で1-0と勝利。ブラジル代表FWネイマールが相手DFから“一発退場タックル”を受けたシーンに対して現地でも賛否が起こったなか、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が判定を考察している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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問題のプレーが起こったのは、PSGが1-0とリードして迎えた後半27分だ。ネイマールのドリブルに対し、マルセイユDFサミュエル・ギコが深いタックルを見舞いファウル判定。ギコにはレッドカードが提示され、さらには両軍の選手たちが入り乱れる乱闘騒動に発展した。
この騒動は各国メディアでも注目を集めたが、ファウルのシーンではネイマールへの接触が最小限にとどまっており、“ダイブ”を指摘する声も挙がっていた。
このシーンについて、家本氏は「Jリーグと海外のそれぞれのリーグでは基準が少しずつ異なるというのが前提にあり、ネイマール選手へのタックルに対する判定が妥当なのかはその国の基準と照らし合わせる必要がある」と言及。「僕はフランスリーグの判定の基準や掲げるテーマを知っているわけではない」と前置きしたうえで、「もしJリーグであのような場面が起こった場合は、おそらくレッドカードを出すレフェリーは少ないと思う」と日本の基準と比較して個人的見解を示した。
「映像で見る限りネイマール選手への接触自体はあっても、そこまで大きなものではないと感じました。もしJリーグであのような場面が起こった場合は、おそらくレッドカードを出すレフェリーは少ないと思います。勢いは相当あるので、そこをレフェリーがどう客観的に解釈するかが重要になってくるのではないでしょうか」
そのうえで、家本氏は「現地のレフェリーはタックルの勢いや、タックルした足の伸び具合、スパイクの裏が見えていて少し空中に浮いているなどの点を踏まえ、退場に値する行為と判断したのだと思います。選手の安全への配慮が世界的にも謳われているので、退場という結論に至った経緯は十分推測できます」とギコへのレッドカード判定にも理解を示していた。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。