現地で“クボコール”…ソシエダ久保建英のリアル評価は? スペイン地元紙記者が「本当に重要な存在になり始めている証」と語る訳
【スペイン発コラム】古巣ビジャレアル戦で4戦連続の先発、FWやトップ下でプレー
久保建英が現地時間10月9日、スペイン1部レアル・ソシエダの本拠地レアレ・アレーナで行われたラ・リーガ第8節ビジャレアル戦で公式戦4試合連続の先発出場を飾った。
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ビジャレアルは久保がスペイン初年度にマジョルカで一定の成功を収めた後、さらなるステップアップを目指し、2020-21シーズンにレアル・マドリードからの期限付き移籍で所属したクラブ。しかし最終的に、各国代表が揃う選手層の厚さや監督の起用法などにより、特にリーガで望むような出場機会を得ることができず、公式戦19試合(先発7試合)、687分出場、1得点3アシストという成績で、同シーズン冬にヘタフェへと移籍していた。
公式戦4連勝と好調を維持するソシエダは、順位の上でもクラブのレベル的にも直接のライバルであるビジャレアルとの重要な一戦が、UEFAヨーロッパリーグ(EL)グループリーグ第3節シェリフ(モルドバ/2-0)戦から中2日での開催されることによる疲労が懸念されるも、イマノル・アルグアシル監督は先発メンバーをわずか2人しか入れ替えず、怪我人を除きほぼベストメンバーで臨んだ。
久保は古巣相手にいつも通り2トップの左でプレーし、最終ラインの裏を狙い続けた。しかし前半、ここまでわずか2失点と、バルセロナに次ぎリーガで2番目に堅固な守備を誇るビジャレアルが自陣に引いたことでチームは苦戦を強いられた。そのため久保もいい形でボールを受けられず、前半終了間際にようやく左サイドから切り込んでグラウンダーのクロスを入れるもクリアされてしまう。一方、前線から積極的にプレスをかけ、あと一歩でGKのミスを誘発できそうなシーンが2回ほど見られた。
後半に入り、ビジャレアルが前半の失点を返そうとラインを高く上げてきたことで、久保はより自由を得て、チャンスメイクの場面を増やしていった。後半6分に左サイドから際どいクロスを入れたが、ダビド・シルバ、アレクサンデル・セルロートにわずかに合わず、後半20分には得意のドリブルでラウール・アルビオルを翻弄し、ペナルティーエリア手前でファールを受けイエローカードを引き出した。
そして後半29分、アルグアシル監督がシルバとセルロートを下げ、カルロス・フェルナンデスとモハメド=アリ・チョーを投入し、久保はトップ下にポジションをチェンジ。しかし終盤、ビジャレアルの猛攻を受けてチームが守りに徹し、久保も守備に追われ、攻撃に転じられないまま後半42分に交代した。ピッチを去る際、スタンドから大きな拍手が送られ、スタジアム一杯に“クボコール”が響いたことは、久保のこの日の働きを表すものとなった。チームはその後、ブライス・メンデスの得点を守り切り、1-0で勝利して公式戦5連勝を達成した。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。