レギュラー変動の可能性も 森保ジャパン、9月シリーズで突如「激戦区」になったのは?

エクアドル戦でPKストップを見せたシュミット・ダニエル【写真:ロイター】
エクアドル戦でPKストップを見せたシュミット・ダニエル【写真:ロイター】

GKは正守護神の座も含めて3人枠が混沌

 そして、ここにきて急に激戦区になったのがGK枠3人だ。W杯アジア最終予選では出場決定まで権田修一が使われ続けた。出場決定後のベトナム戦では川島永嗣が起用されたため、当時の序列は第1GKが権田、第2GKは川島、そして第3GKをシュミット・ダニエル、谷晃生、大迫敬介の3人が争う形だったと考えられる。

 2018年のロシアW杯直後から日本代表の招集されるようになったシュミットは、元々MFだったこともあり足技は抜群。GKも含めてパス交換し展開したい森保監督にとっては鍵になり得る特長を持っていた。

 だが、GK転向が高校と遅かったこともあり、GKとしての技術力向上は必要だった。当時、本人もカタールW杯出場は「GKとして4年間でどこまで成長できるかに懸かっている」と語っている。

 6月の日本代表4試合では、初戦のパラグアイ戦にシュミット、2戦目のブラジル戦に権田、3戦目のガーナ戦に川島が起用された。そして4戦目のチュニジア戦にシュミットはもう一度メンバー入りし、第3GKとしての座を確保したかに思われた。

 ところが、そのチュニジア戦で日本はいいところなく0-2と敗れる。1失点目はPK、2失点目はDFのミスを拾われてフリーでシュートを放たれるということで、どちらのゴールもシュミットにはノーチャンスだったが、結果は残せなかった。するとE-1選手権で谷が活躍し、第3GKの入れ替わりの可能性も出てきた。

 だがシュミットは、アメリカ戦の後半から起用されると続くエクアドル戦でもゴールを守り、PKストップ以外にも決定的と思われたシュート2本をはじき出すなどファインプレーを連発する。

 この活躍ぶりは2010年南アフリカワールドカップ直前のコートジボワール戦、イングランド戦で川島が活躍し、一気に第1GKに上り詰めたことを彷彿とさせた。足技に加えてGKの中では一番の高身長という有利な点もある。このまま第1GKの座を射止めてもおかしくはない。

 そうなるとシュミットが第1GK、権田が第2GKと序列が変わる。そして第3GKを誰にするか。今季、出番がない川島が外され、将来を見据えて若いGKが連れていかれるかもしれない。だが、果たして川島が務めてきた精神的主柱の役割を誰に求めることができるのか。経験値という意味で川島は頭抜けているのだ。

 第3GKに出番が回ってくることはあまりない。そこにチームを陰で支えられる人物を入れるのか、将来性を見越して選手に経験を積ませるのか。森保監督にはチームマネジメントまで含めた難しい問題が浮上してきたと言えるだろう。

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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