進化するソシエダ久保建英、昨季との違いは? 現地記者が指摘「あらゆる面が改善されている」

ソシエダの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】
ソシエダの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】

【スペイン発コラム】第5節ヘタフェ戦、トップ下で先発した久保に各紙が低評価

 レアル・ソシエダはUEFAヨーロッパリーグ(EL)グループリーグ第1節で、優勝候補のマンチェスター・ユナイテッド相手にアウェーで1-0と見事な勝利を挙げ、3日後の現地時間9月11日、意気揚々とコリセウム・アルフォンソ・ペレスに乗り込んだ。

 リーガ・エスパニョーラ第5節で対戦したヘタフェは、久保がレアル・マドリードからの期限付き移籍で2季前の2020-21シーズン後半戦に所属したチーム。加入直後はレギュラーだったが、チームが残留争いの渦に巻き込まれ、守備的な戦術を取ったことで出場機会が激減した。ヘタフェでの久保のリーガ成績は18試合(先発8試合)、1得点1アシストだが、この唯一の得点は最終1節前のレバンテ戦でスーパーミドルを決めて1部残留を確定させたものであり、チームを救った一撃として今でもヘタフェサポーターの記憶に残っている。

 イマノル・アルグアシル監督はヘタフェ戦に向け、マンチェスター・ユナイテッドとの激闘および中2日というタイトな日程を考慮し、4人を入れ替えるローテーションを実施。これによりここまで全試合で先発起用してきた、絶対的なレギュラーのダビド・シルバやブライス・メンデスを温存した。一方、久保は公式戦2戦連続で先発出場し、シルバの代わりに4-4-2(ダイヤモンド)のトップ下でスタートした。

 この日、大型補強をしながら開幕から4試合連続未勝利だったヘタフェの気合は凄まじいものがあった。序盤からハイプレスを受けたソシエダは完全に自由を奪われ、自分たちのサッカーができない状態に追い込まれていく。さらにクラブ史上の移籍金最高額で加入したFWウマル・サディクが今季絶望の重傷を負うアクシデントも発生し、流れは完全にヘタフェへと傾いた。

 チーム同様、久保も5バックの堅固な守備と激しいチェックに苦しめられた。スペースがないなかで仕掛けたドリブルはことごとく止められ、持ち味を発揮できない。また前半終了間際に狙ったスルーパスが相手DFにカットされた後、アレクサンダー・セルロートがシュートを打つもわずかに枠を捉えられなかった。精彩を欠いた久保はハーフタイムに交代した。

 試合は最終的に、ヘタフェに2点をリードされた後、選手交代で後半調子を取り戻したソシエダがモハメド=アリ・チョーのクロスからブライス・メンデスがヘディングシュートを決めて1点を返すが1-2で敗れ、今季のリーガ2敗目を喫していた。

 当然のことながら、この日のソシエダに対するスペイン各紙の評価は全体的に低いものとなった。

 クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は久保について、「ここまでで一番酷い試合となった。シルバに代わりトップ下でプレーするも、コントロールに苦しみ、ボールを何度も失った」とパフォーマンスの悪さを指摘した。続けて、「ハーフタイム直前、シュートを打とうと(アレックス)ソラのクロスに飛び込み、セルロートにスルーパスを通そうとしたシーンがあったがハーフタイムで交代した」と、ゴールへの意欲はあったが上手くいかなかったことを強調し、加入後一番低い1点(最高5点)を付けた。一方、スペイン紙「マルカ」や「AS」の評価はともに1点(最高3点)だった。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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