FW以上の深刻度 森保一監督が9月の欧州遠征で試さなければいけないポジションは?

右SBは室屋、菅原に続く選手が不在

 一番の問題は、最終予選で8試合に出場し、これまで日本代表の攻撃陣をリードしてきた1トップ、大迫勇也の怪我が治らないことは間違いない。リーグ戦の欠場が続く現在、9月の遠征への招集も難しいだろう。

 大迫がいなければ、苦しい時にボールを預けて時間を作ってくれたり、相手に厳しいプレスを受けながらもポストプレーをしてくれる選手は少ない。できるとすれば上田綺世ということになるのだろうが、最終予選でのプレーはわずかに2試合。経験不足は否めないだろう。

 もっとも、「ポスト大迫」は近年の日本サッカーの課題でもあった。森保監督もこの問題を視野に入れ、浅野拓磨や古橋亨梧に経験を積ませている。またドイツ、スペインなど相手にボールを保持される時間が長い展開が予想されるのなら、その守備ラインのうしろを狙い続ける選手の起用のほうが効果的なのも十分考えられる。

 そう考えると、大迫が招集できないというのは森保監督にとって想定内ではないだろうか。むしろ、別のポジションのほうが想定外に近いことが起きていそうだ。

 酒井宏樹は今年5月に右足第五中足骨の手術を行った。復帰して挑んだAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では大活躍を見せたものの、今度は右下腿三頭筋の肉離れ。今季すでに4回目の負傷離脱となっている。

 日本代表で酒井が欠場した時は山根視来が埋めてきたが、その次となると室屋成がアジア最終予選第2戦の中国戦に出場しているだけ。今年に入って室屋は招集されておらず、6月に菅原由勢を招集したものの、負傷のため離脱して1試合も出場できなかった。

 苦肉の策として長友佑都を右サイドに回して使ってはいるものの、そうなると左サイドで作ってきた、南野拓実が左サイドから中央に入り、長友がその縦のスペースを埋め、長友のカバーに守田英正や田中碧が入るというこれまでのパターンは使えなくなる。

 では、ほかの候補は誰か。森保監督の言動を考えると1人しかいないことになる。

 ヨーロッパ視察に出かける直前、森保監督は「今後新しい選手を追加することはあるか」という問いに対して、「これまで招集したことのない選手も、もちろん活躍していれば、誰が見ても代表で活躍できるというパフォーマンスを見せてくれている選手に関しては選択肢として考えたいと思いますが、現段階では難しいと思っています」と答えていた。

 すると考えられるのは、E-1選手権に招集された右サイドバック。となると、小池龍太になる。JFAアカデミー福島を卒業した後、JFLでアマチュアとしてプレーを始めた選手がJ3、J2、J1、日本代表と上ってきてW杯のメンバーに、と夢のある話だが、欧州組とのすり合わせができていない選手を2試合で調整することになると、それは大きな誤算だとも言える。

 9月15日のメンバー発表で右サイドバックとしてプレーできそうなのは誰か、そしてW杯に向けて仕上げなければいけないこの段階で森保監督は選手を試すのか、注目すべきポイントだろう。

 森保監督は就任初戦が地震で中止になったり、新型コロナウイルスの影響でスケジュールが大幅変更になったり、対戦相手が急に来られなくなったり(2回)、W杯アジア最終予選では2敗してしまったりと、さまざまなハプニングに見舞われてきた。ここはやっぱりもう一波乱、覚悟したほうがいいかもしれない(汗)。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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