甘くなかったJ1、最下位・磐田はなぜ低迷? ハイスペックな戦術、エース候補不発、補強失敗…大苦戦と“想定外”の真相

今後の課題は「ジュビロのフットボールをピラミッドの中でどう考えていくのか」

 ただ、やはりキャンプからずっとチームを追ってきた記者の1人としては1年目をなんとか乗り越えて2年目、3年目と成長、成熟していく姿を目にしたかった気持ちは強い。それは叶わなくなったが、伊藤前監督と一緒に甲府からやってきた渋谷洋樹新監督がチームを引き継ぎ、“1戦必勝”で名古屋戦から残り9試合を戦っていくことを誓った。そして渋谷監督の就任に際して、筆者の質問に小野社長がこう答えてくれた。

「フットボール本部という大きなくくりにしながら、トップチームの下に育成・普及がいて、我々としてはジュビロのフットボールをピラミッドの中でどういうふうに考えていくのかと。トップチームからスクールまでをこの地域の中でしっかり根差しながら、どう広げていくのか。その大きなプランニングができる人材(を探している)。ここの人材は数年単位で代わっていくレベルではだめなんです」

 今シーズンの結果がどうなるにしても、伝統ある磐田にとって来シーズンは間違いなく改革元年になる。その1年目をJ1で迎えられるのか、J2で迎えることになるのか。その結果はサポーターの応援を背に、渋谷監督と選手、スタッフが導いていくしかない。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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