日本代表OBが韓国戦で「見たい6選手」を名指し “走る司令塔”を絶賛「海外組とも遜色なくやれる」

(左から)西村拓真、町野修斗、相馬勇紀【写真:高橋 学】
(左から)西村拓真、町野修斗、相馬勇紀【写真:高橋 学】

【専門家の目|金田喜稔】日韓戦の見どころに言及「サッカー人生を左右する可能性も」

 森保一監督率いる日本代表は、7月24日に豊田スタジアムで行われたE-1選手権第2戦の中国戦に臨み、0-0と引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、優勝を懸けた27日の韓国戦で見たい6選手を名指し。なかでも“走る司令塔”について「海外組とも遜色なくやれる能力を持っている」と絶賛している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 Jリーグでプレーする国内組で構成されたE-1選手権の日本代表は、19日の初戦・香港戦で6-0と快勝。MF相馬勇紀(名古屋グランパス)に加え、代表デビューを飾ったMF西村拓真(横浜F・マリノス)とFW町野修斗(湘南ベルマーレ)が2ゴールずつ挙げる活躍を見せた。

 続く中国戦では、低い位置で守備ブロックを形成した相手に苦戦。ボール支配率65.4%対34.6%、シュート数20対4と上回ったものの、最後までゴールはこじ開けられずに0-0のドローに終わった。

 課題を残した中国戦となったが、金田氏は「守備重視の相手に対して、キープ力、ボールの持ち方、パスセンスなどで輝きを放った」と語り、中盤の一角でスタメン起用されたMF脇坂泰斗(川崎フロンターレ)を高く評価している。キック、パス、シュートと三拍子が揃い、豊富な運動量や攻撃センスも兼ね備えた27歳の“走る司令塔”だ。

「もっと同じ絵を描ける選手がピッチに内にいれば、活躍具合も違ったかもしれない。思っていることがピッチ上で共有できないもどかしさがあったと思う。即席チームなので、その点は言っても仕方ない。ただ、そのなかでも脇坂のプレーは光るものがあった。見ていて面白い存在だったし、総じてプレーレベルが高い。海外組とも遜色なくやれる能力を持っている。不在だった海外組とどんなプレーをするのか、想像してしまう自分がいた」

 11月のカタール・ワールドカップ(W杯)に向けて27日の韓国戦が国内最終戦。9月23日にアメリカ戦、同27日にエクアドル戦と欧州遠征で2試合を行い、11月23日の初戦ドイツ戦、同27日のコスタリカ戦、12月1日のスペイン戦と本大会に突入する。

 選手たちにとっても、韓国戦は貴重なアピールの場だ。金田氏は「E-1優勝という前提でしか、彼らにW杯行きのチャンスはないと思っている。W杯メンバーに滑り込むためには、『この選手に託してもいいな』と思わせるプレーを韓国戦で見せられるか」と見どころに触れ、第3戦で見たいという選手の名指しした。

「E-1の第1戦と第2戦で存在感を示した相馬、第1戦で攻撃の起点となった水沼宏太(横浜FM)、第1戦で2ゴールを決めた町野と西村、安定した守備を披露した中谷進之介(名古屋)。ここに脇坂も含めた6選手は、第3戦の韓国戦で見たいと思わせてくれる選手たち」

 E-1選手権の優勝も懸かった韓国戦で、日本は勝利が大前提となる。「勝たなければいけない日本が追い込まれているのは事実だが、それだけに日韓戦は楽しみ。選手にとっては、韓国戦の出来が今後のサッカー人生を左右する可能性もある」と、キャリアの分岐点にもなり得る試合と展望する金田氏は次のように続けた。

「ハードワーク、ハイインテンシティーが大前提で、どれだけ自分の良さを発揮し、味方の良さも引き出せるか。日本の守備陣も、攻撃力のある韓国をどこまで抑えられるか。個々のパフォーマンス、チームとしてのパフォーマンス、そして勝つためにどれだけの采配を森保監督が振るえるか。優勝が懸かった日韓戦は見どころ満載だ」

 運命の日韓戦――。文字どおりの負けられない戦いに挑む。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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