サプライズはやはりある? 森保監督へE-1選手権「招集メンバー26人」推薦状、MF&FWに大胆人選

(左から)相馬勇紀、家長昭博、鈴木優磨、高丘陽平【写真:Getty Images & 小林 靖】
(左から)相馬勇紀、家長昭博、鈴木優磨、高丘陽平【写真:Getty Images & 小林 靖】

【識者の目】E-1選手権のメンバー26人を独自予想、ベテラン勢を多くテストか

 あなたが日本代表のスタッフだとする。森保一監督に「E-1選手権に推薦したい選手をリストアップしてくれ」と言われた時にどうするか。

 普通なら、これまでに日本代表、東京五輪代表、あるいは代表候補として森保監督の下でトレーニングを行った選手。そして、今年台頭していて大きな伸びが期待できる若手、ということになるだろう。だが、果たしてそうだろうか。

 まずは日本代表の現状を森保監督がどう考えているか推測する。

 カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選は練習時間が少なかったために、戦術理解の進んだ選手に絞り込んで重用した。6月シリーズの4試合では「システムよりも選手の組み合わせ」という方針の下、数多くの選手を試した。

 ここまでの戦いで、主力、そして主力と連係がしっかりできるプレーヤーは絞り込まれた。もっとも、今年のW杯(11月開幕)はヨーロッパのシーズンの真っ最中に行われ、大会前の準備期間は1週間。直前まで怪我人が出る可能性があるし、回復させる時間はない。だから選手層はできる限り厚くしておきたい。

 もしも今年のW杯がこれまでの大会のように1か月前から準備できるのなら、今回のE-1選手権(7月19~27日)は「今、勢いがあって今後の期待ができる選手」を見出す場にできただろう。

 ところが海外組まで参加できる、残されたトレーニングマッチは2、3試合。となると、ここから入ってちゃんとチームに馴染める選手でなければいけない。戦術理解度が高く、途中投入で流れを変えられ、先発しても力を発揮できる計算ができなければいけない。つまり「伸びしろ」よりも「安定性」のほうが大切だ。監督はそう思っているのではないか。

 数々の戦術をこなしたことがあり、個性がしっかり確立されて流れを変えられ、なおかつ先発出場の経験も多いとなると、これはもうベテランしかない。そのため、今回のE-1選手権は、今の日本代表での活動が少なかったベテラン勢を多く試しておくべきだろう。

 一方で、今回は26人招集されるというメリットは生かしたい。通常の23人を考えつつ、これまで代表に呼ばれていない若手を入れておくことで経験が伝承できるというものだろう。

 では、その26人のバランスをどうするか。通常の23人のオーソドックスな内訳は、GK3人にフィールドプレーヤーをポジションごとに2人ずつということになるだろう。だが、現在の日本代表には各ポジションの層にばらつきが大きい。

 一番の問題は右サイドバック。DF酒井宏樹(浦和レッズ)がコンディションに不安を抱え、DF山根視来(川崎フロンターレ)も疲労の色を濃くしている現在、この2人が倒れるとDF長友佑都(FC東京)を右サイドに回さざるを得なくなる。左サイドも長友、DF中山雄太(ズウォレ)、DF伊藤洋輝(シュツットガルト)の誰か1人が怪我をした時にギリギリだ。

 逆にセンターバックはDF吉田麻也(シャルケ)、DF冨安健洋(アーセナル)、DF板倉滉(ボルシアMG)、DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)など層は厚い。そのために、センターバックは4人、両サイドバックを3人ずつ推薦した。

 また6月の4試合を終えたところで、森保監督は課題として「攻撃」面を挙げ、解決策として「ビルドアップの向上」を目ざすとしていた。ビルドアップでミスが出ればアタッキングサードに入るのは難しくなる。ということは、中盤でボールを失わない選手というのも今後の対象になるのではないか。

 そういう点を踏まえて、この26人を推薦する。森保監督、こんな選手いかがでしょうか?

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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