MF川辺駿、海外移籍で感じた「インテンシティー」の違いと処世術とは? 「球際って言葉はあまり好きじゃない」と語る理由

グラスホッパーでプレーする川辺駿【写真:Getty Images】
グラスホッパーでプレーする川辺駿【写真:Getty Images】

【インタビュー】スイス1部グラスホッパーで感じた「本気で仕留めに行く」感覚

 日本サッカーと海外サッカーの大きな違いの1つと言えばインテンシティー(プレー強度)。日本のサッカーメディアでもここ最近は非常に登場頻度が高い用語だろう。実際に海外でプレーしている選手はどこに違いを感じているのだろうか。

 2021年7月にサンフレッチェ広島からスイス1部の名門グラスホッパーに移籍し、主軸として中盤に君臨するMF川辺駿に尋ねてみた。(取材・文=中野吉之伴/全4回の3回目)

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「インテンシティーでイメージするのは、まずシンプルにカウンターの速さ。カウンターになった瞬間にみんなスタートしている。あまり休まないというかチャンスだったら、本気で仕留めに行く。DFが戻ってくるのを待たない。もちろんゲームを読んで2-0、3-0で勝っていたらコントロールするけど、サッカーを知ってる人たちが多いので、行く時と行かない時の見極めが上手いと感じています。凄いサッカーしているなって感じます」

 速攻ばかりでは攻撃が雑になることもある。自分たちからボールを失う攻撃では本末転倒だ。試合展開からすれば、ゆっくりと仕掛けるのがいい局面も少なくない。だが、どんな局面でも一度攻撃を落ち着かせるのがメリットにはならないのがサッカーだ。そしてチャンスで引かずに前に出ていく気概をファンも求めている。ボールを奪って前に運べそうな時、ボールを下げるとスタジアムは一気にがっかりした空気に包み込まれる。

「そうですね。そういうのはすごく分かりやすいと思います。逆に攻めに行った時、チャンスでの沸き上がりも凄い。もしそれでラストパスが合わなくても、『オッケー、オッケー、ナイス!』という感じなので、いちいちミスで『あー!』ってならないですね。むしろそこで前に行けない判断をした時に『あー』ってなる感じかな。だから自分としても『前に前に』というのを心掛けています。シュートの場面もそうですね。周りがもう、『シュート!』って言うので。自分が試合を見る立場でもシュート打てる場面だったら、『あ、シュート!』って言ってしまうくらいに染み付いてきています。いいプレーをした時、ゴールを奪った時もチームメイト、チームスタッフはもちろん、フロントの人、ファンの人がすごく声をかけてくれますね」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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