ひと際目を引いた久保建英の表情 ガーナ戦前ウォーミングアップ時、カメラは何を捉えた?

A代表で待望の初ゴール、ようやくこぼれた無邪気な笑み

 共通の意識を持った日本の選手たちは、試合前に警戒していたフィジカルで思ったほど威力を発揮しないガーナに対して攻勢を強めていく。カメラでボールの行方を追っていても、ファインダー内にボランチの遠藤航が入ってくることは少なく、より前線の選手にシャッターを切っていたことからも、日本の攻撃には圧倒的なものがあった。

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 そして、久保は後半28分に待望のフル代表での初ゴールを記録する。ゴールを決めたあとの表情が歓喜ではなく安堵だったことが彼の心情を物語っていたと言えるだろう。

 日本の未来を担うエースとして期待を背負いプレーしてきた久保。しかし、ゴールから遠ざかり、結果やアピールに躍起になり、それがマイナスとなって本来のプレーが見失いがちになっていた。自分の得意としているプレーでアピールができない。相手守備の攻略に手こずり思い描くプレーを完結できないもどかしさがあったことだろう。

 しかし、日本が作り出す手数をかけないスピードを重視したスタイルと、自らのプレーの融合を改めて考えたことによって、久保はこのガーナ戦で特徴をより発揮することができた。勝負どころを見極め、ドリブルとパスを効果的に使い分けて攻撃にチャンスをもたらしたのだった。

 欲を言えば、1対1のデュエルでもう少し持ち堪えてほしかった場面もあった。だが、レギュラー争いからの後退という直面していた問題をクリアしたことは間違いない。

 試合後、ともに初得点を挙げた前田大然とサポーターに向かって挨拶をする久保の表情からはようやく無邪気なサッカー少年を思わせる笑みがこぼれていた。

徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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