審判員勇退の家本政明が伝えたいコト Jリーグの価値と魅力を高めるNEXTチャレンジ

家本政明氏は今年からJリーグのフットボール本部で活動【写真:FOOTBALL ZONE】
家本政明氏は今年からJリーグのフットボール本部で活動【写真:FOOTBALL ZONE】

【インタビュー】審判員を勇退し、「Jリーグの価値と魅力を高める」ミッションを担う

 2002年からJリーグ担当となり、リーグ戦で歴代最多となる516試合で主審を務めた家本政明氏は、2021年シーズン限りで国内トップリーグの担当から勇退した。現在はJリーグのスタッフの一員として、スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」に出演するなど、「Jリーグの価値と魅力を高める」ことに注力している。長年、審判員として見てきたJリーグの現状や、今後見据えるサッカー界への貢献のビジョンについて訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全2回の1回目)

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――家本さんは2021年12月、惜しまれながらトップリーグの担当審判員を勇退されました。その後、今年2月にJリーグのフットボール本部・フットボール企画戦略部のマネージャーに就任されるまでの経緯を教えてください。

「通常、いわゆる転職先を決めて、新天地へ移るパターンが多いと思います。ただ、僕の場合はレフェリーとして1つもミスが許されないプレッシャーと戦いながら30年近く生活してきたので、『1回休みたい』という思いが強く、辞める時に次のことは何も決めていませんでした。レフェリーは傍から見ると、その考え方が見えにくい世界だという声を耳にしていましたし、理解が行き届いていない現状があります。だから、自分が持っている情報の中で、ある程度開示が許されるものは、『家本政明』の名の下で発信してコミュニケーションが取れたらいいなと、個人の活動をベースに思い描いていました。

 そこで、Jリーグさんから『もし良かったらうちで力を貸してくれないか?』と話をいただきました。どういう形がお互いにとっていいのか模索して、個人の活動を尊重してもらいながら、Jリーグのいくつかのパートをやらせていただいています。新設されたフットボール企画戦略部で、『Jリーグの価値と魅力を高められるか』『Jリーグ・クラブを好きな人々、パートナー企業、行政を増やせるか』『社会連携(Jリーグは「シャレン!」として推奨)の活動を培い、発信していく』ことが今の主なミッションです」

――DAZNの判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」への出演もその一環でしょうか?

「はい。『Jリーグジャッジリプレイ』は原さん(原博実氏。当時・Jリーグ副理事長、現大宮アルディージャ フットボール本部長)が立ち上げて、継続するかを議論されていました。ファン・サポーターの方のこと、理解の普及促進も考えてお話をいただき、今年から出演しています」

――番組出演の反響は?

「みなさん、どう思っていらっしゃるんでしょうか?(笑)。ファン・サポーターの方、メディアから『家本が言っているから正しい』といった声が聞こえてくることもありますが、僕はあくまでいち個人として発信しているつもりです。レフェリー関係者は発言の制限もあるし、日本サッカー協会(JFA)が説明をしていないのが実情。僕の意見は1つの見方でしかないにもかかわらず、信憑性のある答えや拠りどころを追い求めるゆえに、結果的に影響力を持ってしまっているのが少し怖いと思っています」

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