良きジャッジを生む「選手×審判」の関係性 八木あかね副審がベテラン選手の変化に覚えた“一体感”
【インタビュー】副審・八木あかねがジャッジの難しさ、過去と現在での選手への“対応の違い”を告白
Jリーグ、フットサルのFリーグと2つの舞台で長年審判員を務め、元プロフェッショナルレフェリー(PR)、国際審判員も経験した八木あかね氏は、リーグ戦、カップ戦で計500試合以上の豊富な経験を積む“ベテラン”審判員だ。現在も主審とともに日本のサッカーを「副審」として支える八木氏に、これまでの苦労や選手との関係性について語ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全3回の2回目)
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現在48歳の八木氏は、2000年に1級審判員の資格を獲得。翌年からJリーグの舞台で副審として活動しており、02年にはフットサル1級審判員も取得し、Fリーグでの審判経験も積んでいる。09年から国際副審としても登録、14年にはPR契約を結び、2019年まで両役職を全うした。現在もJリーグの舞台で副審を続け、今季でJリーグ22年目を迎える。
副審という、試合中は普段フォーカスする場面が少ないポジションだが、“タッチジャッジ”や“オフサイド”の判定の際は良くも悪くも注目されることもある。難しい事象では選手に詰め寄られることもあるが、実際に八木氏はどのような対応をしているのか。
「結構しゃべりますよ」と切り出した八木氏。「もし選手側が認められないようなことを言っていたら、最近は聞き返しています。『今なんて言いました?』って。大抵の選手はやっぱりもう一回は言わない。黙りますね」と、冷静な対応で選手の“いらない熱”を逃がしていると明かした。
そんな八木氏も、若い頃はまったく違う対応だったという。
「若い頃は、言われたのと同じボリュームで、同じパワーのあるもの(言葉)を必ず相手に返していました。これだけ酷いこと言われたんだから、同じだけ相手に投げ返さないと、という」
しかし、「そうすると当然いがみ合うし、発展してイエロー・レッドカードに値すること言われたり。主審は楽しくないですよね。副審が選手と言い合いをして、自分(主審)がカード出さなきゃいけない」とその弊害を実感。年数を重ねていくにつれて、「僕は結構アクションするタイプなので、そのなかで、選手との関係が上手くいった、いかなかった、をたくさん経験して付き合い方は学んできました」と自身の変化を口にした。