「“この男がいる”という圧倒的な存在感」 元日本代表GKも感服する38歳ブッフォンの円熟の技とは

「シュートに対する反応は落ちていない」

 一方で、年齢を重ねても変わらない部分もあるという。それはシュートに対するリアクションだ。

「シュートに対する反応の部分は落ちていないから、厳しいコースのシュートも止めている。自分のことを良く分かっているから行けるところだけ行く。16強のスペイン戦は特にそうだった。例えば後半アディショナルタイムのシーン。もし、あのセーブがCKになっていたらまだスペインのチャンスになっていたけど、安易にCKにしない。そして、逆にイタリアのカウンターのチャンスにしてゴールを奪ってしまう。何気ない部分だけど、ブッフォンがいるからこそ、相手のプレー選択も変わる。ブッフォンじゃないGKだったら、もしかしたら失点しているかもしれない。敵味方関係なく、“この男がいる”という圧倒的な存在感がある」

 準々決勝でドイツとのPK戦で敗れて涙したが、ブッフォン健在を印象づける大会となったのは間違いない。

 一方、スペイン代表GKダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)は、プレミアリーグ最高の名手という評判通りの実力を見せた。デ・ヘアのセービングが、ブッフォンのいぶし銀ぶりを際立たせるという。

「デ・ヘアは今大会で派手なセーブを連発していた。『デ・ヘアは凄い』ってなるけど、ブッフォンにはピッチにいることで影響を及ぼせる存在感の違いがあった。慌てない。ドイツ戦だったら、味方の足に当たって変なバウンドになったとしても、しっかりとキャッチする。他のGKだったら、キャッチできなくて、CKになっていたかもしれない。そういう細かいシーンでマイボールにできることは大きい。GKとしての技術は落ちない。プレーゾーンが狭まった部分を経験値で補っている」

 2018年ロシア・ワールドカップでは40歳となるブッフォン。この大会が、イタリア代表としての最後の国際舞台となるのだろうか。フランスで史上最強GKと呼ぶに相応しい実力を見せつけた。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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