原口元気&遠藤渓太所属のウニオン、なぜ4位大躍進? “1部残留”目標のクラブが変貌した理由

クルーゼが今冬移籍、原口や遠藤のチャンスメイクやゴールメイクに期待

 冬の移籍市場が閉まる直前、そのクルーゼが突如ヴォルフスブルクへの移籍を決断。フィッシャー監督を含む首脳陣にとっても寝耳に水な展開だったが、「選手キャリア最後の大きな契約のために」と決意固いクルーゼを前に、交渉の余地はないと判断し、移籍を認めた。

 ウニオンは特にクラブへの結び付きを大事にするところだ。どんな選手でも、正規移籍でも、レンタル移籍でも、「ウニオンのために100%の力を出す意志を持っている」ことが何よりも大切なのだ。気持ちが傾いている選手を無理して引き留めるより、今いる選手とどのように取り組むかのほうがクラブにとってはプラスになるということだろう。

 クルーゼが担っていた役割をそのまま1対1で引き継ぐことはできないが、今季ここまで4アシストの原口にはこれまで以上にチャンスメイク、ゴールメイクで力を発揮することが期待されているし、それこそこれまで出場機会に恵まれていない遠藤にとっては是が非でもモノにしたいチャンスだ。遠藤の持つアタッキングサードで違いと変化をもたらすことができるプレーはシーズン終盤に向けて大事な武器となるのではないだろうか。得点に絡む資質とセンスは間違いなくあるのだから、精力的なプレーでアピールし、チャンスを生かしたい。

 ウニオンはフィッシャー監督の下、じっくりと自分たちのやり方を成熟させてきたという大きなメリットがある。大崩れしない。クラブとして掲げていた「1部残留」という目標はすでに達成されている。ヨーロッパリーグ出場権獲得は現実的な目標と言えるし、それこそCL出場権だって夢見ることが許される位置につけている。残り14試合、ウニオンはどんな新しいクラブの歴史を書き綴るのだろうか。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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