京都の東山、なぜ優勝候補・青森山田に食い下がれたのか 2年生主体の若いチームが“本気”になれた理由【高校サッカー秘話】

青森山田に果敢に挑む東山【写真:河合 拓】
青森山田に果敢に挑む東山【写真:河合 拓】

青森山田に1-2惜敗も、優勝候補相手への健闘が光る

 あと1点が届かなかった。1月4日に行われた高校サッカー選手権準々決勝の青森山田(青森)対東山(京都)の一戦。昨夏のインターハイ準々決勝と同一カードになったこの試合は、東山にとって2-5で負けた夏のリベンジと位置付けていたが、結果は1-2の敗戦。青森山田との一戦で、またもベスト8敗退という悔しさを味わった。

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 だが、東山の戦いぶりは見事だった。システムを5-3-2にしながらも、ただ引いて守っているだけではなかった。左ウイングバックのDF仲里勇真(2年)が高い位置をとってワイドで起点を作り、MF真田蓮司、MF松橋啓太、MF阪田澪哉の2年生トリプルボランチが中央で距離感を保ってプレーすることで、相手のストロングであるMF松木玖生(3年)と宇野禅斗(3年)のダブルボランチに対して常に数的優位を作り出せるようにしていた。

 青森山田・黒田剛監督と大阪体育大の同期である東山・福重良一監督は、インターハイの反省を踏まえていた。選手たちへ伝えたのは守備をベースにしながら攻め切れるサッカーをやり切ること。ピッチに送り出された選手たちのプレーに、一切迷いはなかった。

 前半16分、左サイドでボールを持った松橋が、同サイドを猛然と駆け上がって来た仲里へパス。仲里の鮮やかなクロスを、ファーサイドに飛び込んだ右ウイングバックのDF夘田大揮(3年)がダイビングヘッドで押し込んで、先制点を奪った。

 その後も5バックのラインコントロールと3ボランチの積極的なプレスバック、そして奪ってから中盤の数的優位を生かしてカウンターを仕掛けるサッカーは機能した。しかし、前半アディショナルタイムに大きな落とし穴が待っていた。

 青森山田は松木から左サイドのMF田澤夢積(3年)に展開するとクロスを供給。これに対応した夘田が、クロスボールを手に当ててしまい痛恨のPKを献上。これを松木に決められ、同点で折り返すこととなった。

 後半は青森山田が冷静さを取り戻し、激しい前線からのプレスと、ダブルボランチの球出しを起点に、左の田澤、右のMF藤森颯太(3年)の突破力を生かすサッカーを展開。それでも東山は前半同様に約束事を徹底したが、後半8分にロングスローをニアで繋がれ、FW渡邊星来(3年)に逆転ゴールを浴びてしまった。

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