「この戦術で成功してきた」前人未到のEURO3連覇へ、天才イニエスタが貫く“ティキ・タカ”へのこだわり

ピケの決勝点を華麗にアシスト

 史上初のEURO3連覇に向けた初戦で苦しんだ「ラ・ロハ」を救ったのは百戦錬磨の司令塔アンドレス・イニエスタ(バルセロナ)だった。現地時間13日のグループステージD組チェコ戦は試合終盤まで0-0が続く展開だったが、イニエスタの絶妙のアシストで勝ち点3を確保。殊勲のプレーメーカーは試合後「僕らはこの戦術で成功してきたんだ」と語り、生命線のポゼッションスタイルを貫き通す覚悟を示している。

 試合は序盤から「ティキ・タカ」と呼ばれる高速パスワークでチェコのゴール前へと迫る場面を創出し続けた。しかしチェコの絶対的守護神であるGKペトル・チェフ(アーセナル)のファインセーブに何度も遭い、ゴールネットを揺らせない。「スペイン版MSNトリオ」と命名されたFWアルバロ・モラタ(ユベントス)、FWダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)、FWノリート(セルタ)の3トップが決定機を生かせず、スタジアムに駆けつけたファンは何度も頭を抱えた。

 スコアレスドローが濃厚かと思われた後半42分、窮地のスペインを救ったのは世界最強の司令塔だった。CKの流れから左サイドでFWペドロ(チェルシー)がボールを拾い、イニエスタにボールを託すと、イニエスタは素早く切り返してファーサイドにクロスを送る。美しい軌道を描いたボールはDFジェラール・ピケ(バルセロナ)の頭を捉えた。のどから手が出るほど欲しかった1点を奪って勝利した。

「絶望的な状況へと陥らないよう、必死にプレーしたんだ。僕らはこういった展開をたくさん経験したし、チェコがスリップするまで、チャンスを作り続けて押し込むしかなかったからね」

 イタリアテレビ局「メディアセット」のインタビューに応じたイニエスタは、安堵した表情で切り出した。14年のブラジル・ワールドカップ(W杯)では初戦のオランダ戦でFWアリエン・ロッベン(バイエルン)、FWロビン・ファン・ペルシー(フェネルバフチェ)の高速カウンターの前に1-5の衝撃的な大敗を喫し、グループリーグ敗退の引き金となった。EURO3連覇を果たすためには2年前の初戦での悲劇を繰り返すことは決して許されなかった。

 

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