これぞJ1最強FWの美学! 川崎FW大久保がチャンスメークに込める思いとは?

「俺が出したようなボールを出してほしい」

「ノボリ(登里)にもね、俺が出したようなボールを、俺に出せよというメッセージです。ああいう部分を出してほしいな」

 このシーンを大久保は、このように振り返った。チームがゴールを奪うために自らがオトリとなって攻撃の形を示した。大久保は、今の形を次は自分に出してくれというメッセージを伝えるために、積極的にチャンスメークにも顔を出していた。

 結果は2-0で勝利。しかし、後半に大久保のPKが決まるまでは、一時横浜FMにペースを奪われかけていた。「(流れが傾きかけたところで)いい感じで(点が)取れましたね」と大久保は語ったものの、もっとリスクをかけて、自分にボールを集めてほしいと主張。ここでも得点への貪欲な姿勢を貫く大久保だからこその美学があった。

「最後のところで自分が引いて、(スペースを)空けて、ゴール前に飛び出たという時にミスが多くて自分のところに届かない。安パイでもいいから出してくれればどうにかするってところに出てこない。そういうのはもったいないと思う。自分の消耗も激しいですしね。引いて、DFを引きつけて、出して、また行くっていうのは」

 川崎を率いる風間八宏監督も試合後、「選手たちが一つ段階を踏むと、その上の欲求が出てくる」とコメントした。暫定とはいえ、現在ファーストステージ首位を走る。チームにとって、そして大久保自身にとっても悲願のJ1初タイトルが近づくなかでは、チームメートへの要求も必然的に大きくなる。34歳となったベテランは、まだまだ選手としての階段を上がっている途中にいるのかもしれない。

【了】

石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa

 

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