英プレミアリーグ、レッドリスト国への選手派遣を拒否 W杯各大陸予選への影響必至
9月の国際試合で26カ国に遠征予定のプレミアリーグ19クラブの約60人の選手に適用
イングランド・プレミアリーグは現地時間24日に、9月のインターナショナル・マッチウィークで英国政府の定める「レッドリスト」に含まれる国へ渡航する場合について、代表チームへの招集を拒否すると発表した。
英国では新型コロナウイルスに対する水際対策として、レッドリストと呼ばれる入国時に厳格な検疫、隔離措置が行われる。先日、リバプールがエジプト代表FWモハメド・サラーの代表招集をこれによって拒否したことが話題になったが、プレミアリーグ全体として選手を派遣しないという決定が表明された。
「プレミアリーグの各クラブは本日、不本意ながらも満場一致で、来月にレッドリスト国で行われる国際試合に出場する選手を派遣しないことを決定した。この決定は、プレミアリーグが強く支持しているもので、9月の国際試合でレッドリストに掲載されている26カ国に遠征する予定のプレミアリーグ19クラブの約60人の選手に適用される」
英国政府の発表しているレッドリストには、多くの南米諸国やアフリカ諸国、メキシコなど北中米カリブ海地区の一部や、オマーンなど一部の中東地域などが含まれる。これを参考にすると、ブラジルやアルゼンチン、チリ、ウルグアイといったプレミアリーグに代表選手を多く輩出している南米の強豪国は、9月のワールドカップ(W杯)予選で選手たちを招集できないことになる。9月5日には、ブラジル対アルゼンチンの大一番がブラジルのサンパウロで予定されている。大きな影響は必至だろう。
日本代表はこの間、W杯アジア最終予選を日本とカタール(中国戦)で行う。両国はこのレッドリスト入りしていないため、リバプールのMF南野拓実は招集可能ということになるとみられる。
先日に国際サッカー連盟(FIFA)から発表された、帰国時の検疫が必要とされる場合の代表チームの選手拘束における例外措置を延長せず、クラブが覇権を拒否できない旨の発表をしていた。それに対してプレミアリーグは、リーグとして強硬な対抗措置を取ったことになる。
「FA(イングランド・サッカー協会)と政府との間で解決策を探るために幅広い議論が行われましたが、レッドリスト国からの渡航者に関する公衆衛生上の懸念が続いているため、免除は認められなかった。レッドリスト国からの帰国時に検疫が必要となった場合、選手の公共利益やフィットネスに大きな影響を与えるだけでなく、プレミアリーグの2試合、欧州カップ戦の1試合、EFLカップの3回戦の準備や試合に参加できなくなる。この期間は、帰国してからの10日間のホテル検疫を考慮しているが、選手が試合勘を取り戻すために必要な追加期間は含まれていない」
また、FIFAはW杯南米予選について、9月と10月の試合を急遽2試合から3試合に増加させ、代表活動の日程を長くした。プレミアリーグは「この件について、クラブは不満を表明した。これにより、同地域の選手は代表活動の義務を負うことにより、所属クラブの代表としての活動に支障をきたすことになる」としている。英国のレッドリスト国には南米予選を戦う10カ国が全て含まれることから、派遣拒否のターゲットがどこにあるかも伺われる。
(FOOTBALL ZONE編集部)