なでしこジャパンは英国に“勝ってはいけない”!? 東京五輪で思い描く最良のシナリオ

初戦のカナダ戦に勝てば、英国戦でのターンオーバーも可能

 もちろんグループEを2位通過しても、決して楽な道のりになるわけではない。決勝に進むためには、2年前のW杯で敗れたオランダやオーストラリア、ブラジル、中国などを蹴散らさなければならない。しかし、それでもアメリカや英国に比べれば、勝算は描きやすい。逆にグループを1位通過して準決勝でアメリカに敗れると、場合によっては手負いの英国のリベンジマッチを受けなければならなくなる。メダル獲得の難易度は、格段に上がってしまう。

 結局なでしこにとって最も重要なのは、開幕のカナダ戦だ。ここで白星スタートを切れば、次の英国戦ではターンオーバーで主力を休ませることもできる。英国も準決勝でのアメリカ戦を避けたい思いは同じかもしれないが、最後に侮れないカナダとの対戦を残すし、国民性を考えても日本戦で露骨に力をセーブしてくるのは考え難い。ごく自然な形での2位通過をして、メダルを確定したうえでアメリカとの決勝に臨むのが日本のベストシナリオになる。

 改めて過密日程での短期決戦を考えても、初戦が8割近く成否の鍵を握る。一方、もしカナダと引き分け以下に終わると、いきなりシナリオが崩壊し、残るすべての試合がフルパワーでの連戦になる。これでメダルに到達するのは至難の業だ。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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