清水、大型補強も…“期待はずれ”の序盤戦 巻き返しへ選手が語る手応えと修正点は?

2戦連続の複数失点も守備には一定の手応え、意思統一をさらに図れるか

 後半に入っても攻撃のリズムが生まれない清水は後半9分にFW後藤優介、DFエウシーニョ、同17分にMF河井陽介、MF鈴木唯人を入れ、同37分には今までその位置での起用は記憶がないMF西澤健太を左サイドバックとして投入し、ホーム初勝利を目指した。右サイドに入った河井、エウシーニョから攻撃が組み立てられ、浦和ゴール前に迫る。同24分に後藤、同33分に中山、鈴木唯がシュートを放つが決め切ることができなかった。今シーズン初先発となった左サイドバックのDF奥井諒は「右サイドのほうがチャンスを作れる」という判断から自らは無理に仕掛けずに組み立てに徹していたが、1点が遠かった。

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 そして後半45分、浦和のこの試合2本目、後半1本目となる途中出場のFW杉本健勇のダイレクトボレーシュートが決まり0-2。今シーズン初の浦和が連勝、清水が連敗となった。

 ロティーナ監督は徳島戦後の課題から浦和戦に向けて「ビルドアップのやり方などのトレーニングも行った」とのことだったが、その部分での改善は中2日という限られた時間の中では難しかったのだろうか。原が徳島戦後に指摘した「一人ひとりが気を使ってプレーする必要性」という部分がまだまだ実践できていなかった。

 もちろん、サッカーは相手があることなのでこちらの準備したものが封じられることは当然ある。しかし、それをも上回る動きやポジショニング、プレーができてこそプロフェッショナルであり、国内トップリーグである「J1」の選手、チームでもある。今の清水の選手やチーム力が劣っているとは思わないが、そのポテンシャルがまだ発揮できていないと感じている。「我々のサッカーをして、本来持っている力を出し切る」と試合前にロティーナ監督は話していたが、残念ながらそれは実現できなかった。

 2試合連続の複数失点と無得点での連敗。ただ、選手たちはこの連敗をそこまで深刻には捉えていない。中山は「守備はみんなで統一してやれた」と言い、奥井も「組織的に守るということは意識してできた」と、守備に関しては一定の手応えを感じている様子だった。もちろん、攻撃の課題も口にしており、さらにチームとして守備のように意思統一していければ得点力不足も解消できるだろう。

 得点できないのは攻撃陣、失点するのは守備陣、ボールを繋げないのは中盤の選手の責任と単純に割り切れるほどサッカーは単純なものではない。オフの大型補強で期待が大きかったことで、この内容と成績は「期待はずれ」と感じているサポーターもいるかもしれないが、合流が遅れていたDFウィリアム・マテウスも来日し、まだまだここから巻き返す戦力と気持ちは充実しているはずだ。

(Sの極み・下舘浩久 / Hirohisa Shimodate)



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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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