「重力が100倍に…」 ベテランGKが伝えたい、オバトレ症の現実と付き合い方

復帰まで5カ月、「症状は深刻なほうだった」「考える力すらなかった」

 オーバートレーニング症候群に悩まされている選手の中には、自分がそうであることを受け入れられないケースも多い。六反は最初の異変を自覚するまでに時間がかかったが、練習に行けないほどの深刻な状況になった時には「自分がそういう状態(オーバートレーニング症候群)だと認識できていた」という。

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「僕は復帰するまでに5カ月かかりました。オーバートレーニング症候群の中でも症状は深刻なほうだったんですけど、それを考えると(復帰まで)早いほうだったのかなと思います。練習もできないし、身体も動かなくなった時にダメだと早々に気づくことができたので、それが良かったんだと思います」

 その当時、プレーから遠ざかるなかで思い悩んでしまうようなことはなかったのかと聞くと、六反は「いやあ、頭がボーッとして、考える力すらなかったですね。最初の頃は本当にボーッとして『だめだなあ。無理だなあ』と思うくらいでした。ベランダにピクニック用のシートを敷いて、雲が流れているのをずっと見ていましたよ」と振り返っている。

 寝たきりのような日々が数週間続いたが、六反は徐々に体調を取り戻していった。食欲が戻り、起き上がって歩けるようにまで回復すると、リハビリとして積極的に外出するようになった。

「最初は家の近くにいくつかある銭湯の回数券を全部買いました。朝ご飯を食べて、子どもを送った後に午前10時からオープンする銭湯に行って、おじいちゃんたちと一緒にお風呂に入ってました。その時はもうそれが仕事という感じでした」

 以前の生活リズムを取り戻すため、六反は「髪を染めたり、ネイルをしたり、脱毛したり。とにかく自分から外に出る理由を作っていた」という。そうやって徐々に身体を動かせるようになった頃(19年8月4日)、当時の所属クラブである清水エスパルスからオーバートレーニング症候群と診断されたことが発表された。

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