ビジャレアルでは「久保のビジョンに周りがついてきていなかった」

　名波氏によれば、久保が今季前半戦で在籍したビジャレアルでは、そうした周囲のサポートの動きが乏しかったという。

「おそらく（ウナイ・）エメリ監督が、ボランチの選手に対してボールを追い越してはいけないとか、前に入っていくなと言っていたのかもしれません。ただ久保は、（味方の）センターフォワードがゴール前に深みを取るような動きをした時、誰かがそこのスペースに入ってくれるほうがプレーの選択肢が広がる。自分がボックス内に入っていく、あるいはシュートエリアに顔を出せるという意味では、そうしたサポートがあれば久保はイメージどおりのルート探しができるはずです。

　でもビジャレアルでは、そうならなかった。久保はIQの高い選手だから球離れが良いはずなのに、周囲のサポートがないから球離れが遅くなってしまい、相手にお尻を向けながら“逃げのドリブル”をしないといけない。そこで（相手に）突っつかれてボールを失ったら、それが彼の評価になってしまう。でも僕からしたら、ボールを持っていない周りの選手のサポートが悪いな、と。久保のビジョンに、周りがついてきていないと感じました」

　ここまでの話を聞く限り、名波氏の頭の中には久保とチームメートとして共闘するイメージがしっかりと描かれているようだが、「（久保に対する）サポートのチョイスを常に2つ、3つ持てるような感じで、淀みなくプレーできるかは不安」と苦笑する。そのうえで、「でも彼のアイデアに、自分がついていきたいという気持ちはありますね」と明かした。

　名波氏にそこまで言わしめるほどの選手。それでは、もし監督の立場で久保を起用できるなら――そう問うと名波氏は、「ボールを足で舐めながらカットインしてラストパスを出したり、切れ込んでシュートを狙うといったプレーをストレスなく表現できるのは、やはり右サイド」と久保の適性ポジションを語ったうえで、起用法について続けた。