元日本代表MFがセリエAのオファーを辞退した理由は? 舞台裏を告白「1日で決めろと…」

05年にはセリエAのトレヴィゾからオファーが届いていた【写真提供:石川直宏】
05年にはセリエAのトレヴィゾからオファーが届いていた【写真提供:石川直宏】

もしオファーが届いた時代が今だったら「イタリアに行っていたと思う」

 その話を聞いたうえで、「もし、オファーが今の時代のような状況であれば、どうでしたか?」と尋ねると、「イタリアに行っていたと思う」と即答で返した。それでも、しばらく考え込んだ後、「でも、きっと15年経った今だから、あの時挑戦してみても良かったと思えるんだろうね。当時の自分も、気持ちに正直に決断を下したわけだから」と口にした。

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「あの時は何かを変えたいとは思っていたけど、不調のなかで海外に行くというやり方ではないなと結論に至ったのがその時の判断だった。今は海外に行って1年で帰ってきても、それほどネガティブな印象にはならない。今の時代は失敗する可能性があっても、海外で挑戦するマインドになっている。海外の、日本人を見る目も当時と今では全然違う」

 現役時代は日本人離れした爆発的なスピードと、両足とも遜色なく強烈な一撃を蹴り込むシュート精度は、Jリーグより、むしろ海外向きの特長だったと言えるかもしれない。海外でさらなる開花を遂げていたのか、厳しい現実が待ち受けていたのか――。その答えは今となっては知る由もないが、一つ確かなのは、日本に残ったからこそ喜ばせることのできたファンがいるという事実だ。それを伝えると、石川氏は「そう言ってもらえると、間違ってなかったって思えるよ」と笑顔を見せた。

[プロフィール]
石川直宏/1981年5月12日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスユースから2000年にトップ昇格しJリーグデビュー。02年に出場機会を求めてFC東京へ移籍して以降、17年の引退まで16シーズンにわたってプレーした。09年にはキャリア最多15得点をマークし、Jリーグベストイレブンを受賞。J1通算289試合49得点の成績を残している。日本代表としても年代別代表から活躍し、01年ワールドユース(現U-20ワールドカップ)、04年アテネ五輪に出場。国際Aマッチ6試合0得点。18年からFC東京クラブコミュニケーターを務めている。

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