俺が今、カタールにいる理由 小林祐希、未知なる中東での挑戦に見据える次の青写真
【インタビューVol.1】欧州挑戦にこだわりを持つなか、アル・ホール移籍の決断は直感
“プラチナ世代”の1人であるMF小林祐希は今年10月、新たな活躍の場をカタール1部アル・ホールに求めた。常に成長を求め、海外挑戦を続けてきた28歳のレフティーは、未知なる中東で何を学び、自らに還元しているのか。そして、その先に見据える次なるビジョンとは――。
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2016年8月にオランダへ渡った小林は、1部ヘーレンフェーンで3年間プレー。19年9月にベルギー1部ワースラント=ベベレンと2年契約を結び、昨季はリーグ戦20試合2得点を挙げた。迎えた2年目の20-21シーズンはリーグ開幕から1試合の出場にとどまっていたなか、カタール行きを決断した。中学生の頃から欧州志向を強く持ち、今回も欧州のクラブは選択肢の中にあったが、理想と現実を照らし合わせながら、最終的に“直感”でアル・ホールを選んだという。
「一番はヨーロッパ内でステップアップしたいと思っていて、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスのチームでいくつか話がありました。ただ、どのクラブも経営的に厳しくて、こちらが希望する金額と折り合いが付きませんでした。18~19歳の頃にもらっていた額まで落とせばチャンスはあったかもしれないし、夢だけを追ってプレーするのも悪くはないと思います。でも、自分ができるトレーニングの質は落ちて、体のケアにかけられるお金も減ってしまう。悩んでいた時にアル・ホールからオファーが来たので、行ってみるか、と。直感で選んだところはあります」
経済成長を続けるカタールは、純カタール人は国民の約10%で、近隣のバーレーン、オマーン、シリア、ヨルダン、フィリピンなどからの出稼ぎが多い。サッカーにおいては、2019年のアジアカップで日本を決勝で破って大会初優勝を果たし、22年にはワールドカップが開催予定。リーグにもワールドクラスの大物選手が加入している。クラブハウスにプールやジャグジーが完備され、トレーニング施設も複合されるなど、「環境面はヨーロッパの下位クラブよりも全然いい」という。そのなかで、外国人選手の見られ方は、欧州と中東ではまた違ったものがあると小林は話す。
「カタールリーグでは、外国人枠5人の選手を『プロフェッショナルプレーヤー』と呼ぶんです。外国人選手で試合が大きく変わる、という認識なんだと思います。Jリーグにも良い外国人助っ人はいますけど、中東は移籍金の額がゼロひとつ多くて、その気になれば、お金を積んでビッグプレーヤーを連れて来れる。アジア圏外のブラジルとかヨーロッパ出身選手を補強した時の期待とリスペクトは大きいですね。ただ、大金をかけて頼りにしている分、活躍しなかったらすぐにクビです。中東に馴染めなくて、契約を解除してすぐに帰ってしまう選手も多いです」