柏と浦和の開幕戦で起きた微妙な判定 ゴールラインテクノロジー導入の議論は加速するか

真相は闇の中では誰にとっても不利益だ

 最終的に、この判定を正確にするためには、通常では審判団が入り込まないゴール前左サイドのライン上か、上空から見る必要があった。それは現実的ではないので、この状況が生まれてしまったこと自体が審判団にとっては不運だったとも言える。

 結局、この武藤のシュートがゴールラインを割っていたかどうかの真相は、闇の中に消えてしまう。中村のコメントではないが、入っていても入っていなくても、ハッキリとした判断がされれば納得することができる。武藤は「もっとハッキリとしたゴールを僕が決めておけばよいので」と話したが、全力を出したギリギリのシーンが判別不明では、選手が浮かばれない。浦和と柏の選手にとっても、両チームのサポーターにとってもモヤモヤとしたものが残ってしまう。また、今後に向けた禍根を残すようなことになれば、誰にとっても不利益だ。

 解決策は、Jリーグにおける全面的なゴールラインテクノロジーの導入以外にはないだろう。コストがかかるのは事実だが、ヨーロッパではリーグ戦のゲームでも次々に導入されている。日本のトップカテゴリーであるJリーグでも、導入に向けた議論が加速することを願いたい。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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