“天才”たちの趣深いキャリア晩年 「階段を一段降りて」魅せる、色褪せない才能

FC琉球の元日本代表MF小野伸二【写真:Getty Images】
FC琉球の元日本代表MF小野伸二【写真:Getty Images】

【識者コラム】何より楽しそうだった小野伸二 名選手はその才能ゆえに長くプレーできる

 沖縄はJリーグクラブのキャンプで賑わっていた。プロ野球のキャンプのように即席の屋台村ができるわけではないので、賑わうというより、ひっそりやっていると言うべきかもしれないが、練習試合ともなればそれなりのファンが観戦に訪れている。

 Jリーグのキャンプといえば、宮崎か沖縄が定番だ。多くのチームが来るので練習試合が組みやすいという理由もあるが、なんといっても本州よりも暖かいからである。地元の人は「寒い寒い」を連発しているのだが、それでも気温は15度あったりする。風が吹くので実際のところ体感温はかなり寒いとはいえ、それでもまあ本州よりはましなはずだ。

 FC琉球(J2)には元日本代表MF小野伸二がいる。大宮アルディージャとの練習試合ではボランチでプレーしていた。ボールタッチは相変わらず上手い。局面の読みも確か。スライディングタックルでスパッとボールを奪うこともある。さすがに運動量は落ちているが、全盛期でも動き回っていた印象はないので、そんなに変わっていないような気がした。何より楽しそうにプレーしているのがいい。

 沖縄SV(九州サッカーリーグ)には、元日本代表FW高原直泰がいる。このクラブのオーナーだ。ユニフォームは、自身がかつてプレーしたアルゼンチンのボカ・ジュニアーズと同じデザイン、クラブ名のSV(シュポルト=フェアアイン)もたぶんハンブルガーSVから名付けたのだろう。沖縄キャンプの練習試合といえばこのチームなので、1年に1回ぐらいは見ている気がする。元Jリーガーが何人か所属していたが、現在は前田俊介がいる。サンフレッチェ広島でのプロデビュー当時は“天才選手”と騒がれたものだ。「おっ、いいパスを出す選手がいるな」と思ったら前田だった。

 小野、高原、前田と天才系が沖縄に集まっているのは、何か理由があるのだろうか。やっぱり気候がいいからか。

 ミカエル・ラウドルップがヴィッセル神戸に来る時、「階段を一段降りてプレーしたかったから」と話していた。トップレベルで続けるのはやや厳しくなってきたが、まだ十分プレーはできるので引退はしたくない。大きなプレッシャーを受けながらではなく、もう少し無理のない場所でやりたいという意味だろう。結局、ラウドルップは神戸からアヤックスへ移籍しているので、また一段上ったわけだが、レアル・マドリードやバルセロナよりは気楽だったはずだ。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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