19歳日本人MF、独1部クラブと“プロ契約” 家族の支えに感謝「完璧にサポートしてくれる」
【アペルカンプ真大インタビュー|第3回】デュッセルドルフに加入した時から意識していた“トップ昇格”
ブンデスリーガのフォルトゥナ・デュッセルドルフU-23でプレーするアペルカンプ真大(しんた)に朗報が入ったのは、2019年9月のことだった。ついにクラブから21年までのプロ契約が提示されたのだ。
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クラブ公式ホームページでは、スポーツ部門トップのルッツ・ファンネンシュティール氏の「シンタは素晴らしいタレント性を秘めており、いろんなポジションでプレーすることができる。フォルトゥナで次のステップを踏めると信頼している。シンタと21年まで契約を結んだことは、自分たちの育成機関で育ってきた選手にチャンスを与えたいという自分たちのコンセプトの表れでもある」という喜びのコメントが紹介されていた。クラブ側も生え抜きの選手として期待を寄せている。
どれだけ将来を嘱望されていても、実際にアカデミーの各年代チームを順調に昇格し、ユースからU-23、そしてプロ契約を勝ち取れる選手は限られている。毎年1、2人がという狭き門だ。誰も上がれないという年だってある。アペルカンプはいつから、“そちら側にいける”というイメージを持っていたのだろうか。
「正直ドイツに来てから、プロっていうイメージは日本にいた時よりもっともっと出てきて。ドイツに来てU-16、U-17とだんだん活躍できて。その頃からチャンスは意外と大きいから、絶対そのチャンスを生かさないとって思うようになりました」
U-19ではキャプテンとしてシーズン11ゴールを挙げる活躍も見せていた。クラブからの信頼も感じていたことだろう。U-23で一定の出場数を重ねれば、プロ契約が結べるという話にもなっていたという。それでも、実際に「プロ選手」としての契約書にサインをした瞬間は格別な気持ちだったに違いない。
「確かメッセージを受けた時は学校にいて、チラッとスマホのモニターにメッセージが見えたんですね。最初はそうとは思わなかったんですけど。でもその後でメッセージを見て、本当だというのが分かって。自分の夢だったので、やっぱりとても嬉しいですね」
自然と笑顔になる。喜びはどんどん広がっていただろう。それでも朗報はすぐ友だちには明かさず、そっと家に持ち帰った。最初に伝えるべきは家族だった。
「たぶんお母さん、お父さんも今シーズン中にはプロ契約を結ぶというのは想像というか、分かっていたと思う。そういう部分では準備できていたと思いましたけど、やっぱりめっちゃ喜んでいましたね、はい。特にお母さんのためにも、嬉しいです」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。